事業計画書は経営戦略・マーケティング戦略から考える

事業計画書は経営戦略・マーケティング戦略から考える資金繰り・資金調達
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事業計画書には具体的な戦略を明示することが大切

経営・マーケティング戦略がまとめられた計画書は信頼度も向上

事業計画書は経営戦略を伝えるための、重要なツールです。事業計画書の内容は、金融機関からの融資の是非を決めるポイントや、他社との商談においても、説明に説得力を持たせ、信頼性を高めるツールとして活用できるでしょう。スムーズな融資成功や、商談成立のためにも、しっかりとした経営戦略、マーケティング戦略に基づいて事業計画書を作成することが必要です。

事業計画書を作るときは「3C」と「4P」を意識しよう

「3C」は自社と競合、顧客を分析し戦略を立てる理論

説得力のある事業計画書を作成するには、3C理論を取り入れるのが効果的といわれています。3C理論というのは、経営戦略理論のひとつで、自社と競合他社、顧客を分析することにより、市場で優位に立つ方法を考案する方法です。

「3C」は「自社(Company)」、「競合他社(Competitor)」、「顧客(Customer)」の頭文字からきています。3Cを分析することにより、市場で継続して優位であり続けることの根拠を示すことや、計画している事業が独自性を持つというアピールにつながります。

自社の強み・弱みを理解する

3Cのうち、「自社(Company)」の部分では、会社の強みや弱みを分析します。例えばこれまでの実績や、得られたスキルやノウハウなどです。自社の強みを理解することにより、計画している事業が、自社でしかできない独自性のあるものとするアピールにつながるでしょう。

さらに、財務源や人的資源を冷静に把握することで、事業計画や戦略を維持できるかどうか、客観的な視点から伝えられるはずです。

競合他社に対し優位に立つ

事業計画書では、競合他社の動向を分析することも重要です。会社経営では「競合他社(Competitor)」に勝る製品を生み出すことや、価格やサービスの面で付加価値をつけ、優位に立つ必要があるからです。

ライバル会社に対し優位に立つためには、「何をいくらで売っているか」、「どういう流通ルートで販売しているか」、「どんな宣伝をしているか」などを観察し、分析するのが大切です。どんな会社にも強みや弱みがあるはずです。監査から競合他社が苦手な分野を見つけ、自社との差別化につながる糸口や、具体的な戦略も見つかるはずです。

顧客のニーズをくみ取る

経営戦略を立てるにあたっては、「顧客(Customer)」のニーズを反映することも重要です。顧客の立場から見て、思いついたアイデアは本当に価値やメリットがあるか、利便性があり、満足してもらえるものかどうか、という視点で考えてみましょう。基本に立ち返り、顧客の視点に立って考えることによって、よりよい戦略が生まれるかもしれません。

「4P」は商品やサービスを具体的に説明する戦略理論

事業計画書の作成では、事業計画に具体性を持たせるため、「4P」を使って説明するのも効果的です。「4P」は「Product(商品・サービス)」、「Price(価格)」、「Place(チャネル)」、「Promotion(広告・宣伝)」のことで、マーケティングミックスとも呼ばれる戦略理論です。

顧客のニーズを満たした商品・サービス

4Pのうち、「Product(商品・サービス)」は、事業計画において開発・販売する予定の商品・サービスのことです。具体的な経営戦略を立てるには、提供する商品やサービス顧客のニーズを満たしていて、同じような商品を販売する他社との差別化を図ることが重要です。

さらに、実際開発や販売を始めたあとは、できるだけ多く商品やサービスのリピーターをつくることで経営の安定化につながります。リピーターを捕まえるには、マーケティングを行って顧客にとって魅力的な商品かどうか検証し、ライバル社との明確な違いを打ち出すことが必要になるでしょう。

適正な価格

事業計画書に具体性を持たせるには、「Price(価格)」も意識したいポイントのひとつです。商品やサービスを開発・製造するにはコストがかかるため、赤字にならないよう価格設定を考える必要があります。

しかし、赤字にならない価格設定にしたからといって、実際に売れて利益が出るとは限りません。適正な価格かどうかは、類似商品やサービスと比較し、相場を把握した上で判断するのが望ましいです。

市場のリサーチを十分に行い決定した価格であれば、事業計画書における説明にも根拠が感じられやすくなるでしょう。例えば、自社の商品やサービスの類似商品がない場合や、競合他社より勝っていると判断できれば、相場より高めの価格設定にするのもよいでしょう。

また、顧客にとってメリットがある商品やサービスである場合も、手が届く範囲で高めの価格設定にすることが可能と考えられます。

流通ルートを明確にする

4Pの「Place(チャネル)」とは、販売する商品・サービスの流通ルートを意味します。流通ルートには「直接チャネル」と「間接チャネル」があります。

直接チャネルはインターネットの通販サイトや自社サイトなどのように、顧客に直接商品を販売するルートのことです。一方間接チャネルは、スーパーや小売店など、卸や代理店、販売店を経由して販売するルートです。

どのような販売経路で自社の商品やサービスを認知につなげ、顧客に購入してもらうかを考えることも、経営戦略を考える上で大切なポイントです。

広告・宣伝によるイメージづくり

「Promotion(広告・宣伝)」によるイメージづくりは、マーケティング戦略やプロモーション戦略とも呼ばれます。主な手段は、主に新聞や雑誌、テレビ、インターネット、DMなどです。

どうやって自社の商品やサービスを知ってもらうかを考え、広告や宣伝によるブランディングをすることは非常に重要です。競合他社との差別化の強化、売上増加にもつながるからです。

事業計画書で重要視されるポイント

事業のコンセプト

事業計画書を作成する際は、事業のコンセプトについて説明することが大切です。事業の目的を書くだけでなく、計画していることがどんなニーズがあるかを具体的に説明しましょう。

例えば顧客の立場から見た場合のメリットの説明や、政治情勢や社会情勢、経済環境、技術革新の状況を分析し、事業が成功する根拠をまとめるなどです。

長期的なビジネスモデル

経営戦略を立て、事業計画書を作成するにあたっては、長期的なビジネスモデルをまとめることも大切です。計画している事業が継続して利益を上げられる根拠としては、商品・サービスが顧客に届き、代金を回収するまでのプロセスなど、利益を生み出す仕組みをまとめるとよいでしょう。

ターゲット市場・客層の明確化

事業計画を考える上で、ターゲットとなる市場やその規模、客層を明確化することも大切です。ターゲットとなる客層については、年齢や性別、職業、趣味など属性の属性から絞り込み、どんな商品やサービスをどのようなスキル・ノウハウによって提供するかをまとめます。

市場規模については経済産業省や総務省、民間のシンクタンクや業界団体、マーケティングリサーチ会社などを活用することで、情報を集められるはずです。事業を行うだけの十分な市場規模、成長性があることや競争度合いなどを明確にすることにより、事業計画にも説得力が生まれ、さらに計画の信頼度を高めることができるでしょう。

財務分析・資金計画

事業計画書を使って資金調達をする場合は、財務分析や資金計画も重要なポイントです。売上目標や具体的な利益の予想、原価や人件費など必要なコストの割り出し、設備計画などをまとめましょう。それぞれ具体的な数字を明らかにし、事業立ち上げに必要な予算を算出します。

財務分析や資金計画も、現在から5年後くらいまでのスパンで計画をまとめるのがおすすめです。長い目で見て資金計画を立てることが、計画している事業が将来にわたってどの程度利益を上げられるか、経営戦略を考える上でも役立つはずです。

また、融資担当者や出資者は、会社にどれだけ資金があるかも見ています。資金計画だけでなく自己資金がどれだけあるか、はっきり示すことも大切です。

会社概要

事業計画書には会社概要も記載しましょう。会社の基本的な情報だけでなく、事業の立ち上げメンバーや関係者のリスト、社内組織図などもまとめるのがおすすめです。計画している事業に対し、スキルやノウハウを持った人材が携わることをアピールできれば、経営戦略の説明にもプラス材料となるはずです。

事業計画書は戦略理論の活用を

さまざまな視点から戦略を立てることが事業計画のアピールに

事業計画書を作成する際は、戦略理論を活用することにより、計画している事業に説得力を持たせることが可能です。

例えば3C理論では、自社や競合他社、顧客、それぞれの立場を冷静に分析することで、自社の強みを理解し、競合他社よりも顧客のニーズにマッチした事業計画であることをアピールできるはずです。また、4Pの考え方により、商品やサービスとその価格、流通ルート、広告・宣伝方法の戦略を細かく考えることで、売上増加への具体的なプランが示せるでしょう。

どんなにユニークな事業計画でも、経営戦略があいまいな状態では、資金調達もうまくいかない可能性があります。さまざまな角度から事業計画の戦略を立てて説明することにより、事業の見通しを明確にし、アピールすることにもつながるでしょう。

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