お菓子代、お茶代の経費処理~仕分け時の判断基準、勘定科目

お菓子代、お茶代の経費処理~仕分け時の判断基準、勘定科目経費で節税する
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会社経営においてお菓子代、お茶代は経費に計上できるもののひとつです。ただ、すべての費用を計上できるわけではありません。また、経費になる場合も、来客用や社員への差し入れなど、目的によって仕訳方法が異なるほか、個人事業主と法人とで使用する勘定科目が異なる場合もあるようです。今回はどのようなお菓子代、お茶代なら経費に計上できるのか、判断基準や使用する勘定科目などについてご紹介します。

お菓子代、お茶代を経費にする場合の判断基準

前提として、お菓子代、お茶代を含めてすべての費用は、「業務に関係するもの」であれば経費に計上可能です。とはいえ、どんなお菓子やお茶なら経費にできるのか判断に迷うこともあるでしょう。まずは、お菓子代、お茶代が経費になるケース、ならないケースを押さえておきましょう。

経費としてのお菓子代・お茶代「業務に関係する」の範囲は?

業務に関係するとして経費になる菓子代、お茶代は、主に社外の人や社員に対して用意するものと考えるとよいでしょう。具体的に経費に認められやすいお菓子代、お茶代の例をご紹介します。

来客用

会社の来客用で準備したものや、ストックするお菓子やお茶は経費になります。例えば講演会に外部から講師を招く際のお菓子代、お茶代も、経費として認められるでしょう。

取引先、得意先への手土産、贈答品

取引先へ訪問時に持参する手土産も経費になります。お世話になっている得意先へ送る、お中元やお歳暮、謝礼品なども経費として認められるでしょう。

会議や打ち合わせで出す茶菓子

社外の人との商談や、社員との会議、打ち合わせ等で用意するお菓子代、お茶代も経費として認められています。ちなみに来客や社員のために用意したお菓子やお茶は、経営者も一緒に食べてかまいません。

社員への差し入れ

社員への差し入れも経費になります。例えば社員が休憩時に食べられるように給湯室にお茶やコーヒーを用意した場合や、差し入れで買ってきたおやつなどは経費と認められやすいでしょう。

お菓子・お茶関連の事業の場合も経費計上可能

自分用のお菓子代やお茶代は基本的に経費になりませんが、お菓子やお茶に関する事業を行っている場合は別です。

例えば洋菓子店を経営している場合は、よりおいしいお菓子、お茶を提供するために他社の商品を味見することがあるでしょう。競合他社の調査など事業に関係する目的で購入するお菓子やお茶については経費に計上できます。

また、インターネットのサイトやブログでお菓子やお茶を紹介するために購入した場合も、経費として認められる可能性が高いです。ただし、実際にサイトやブログで紹介し、事業に関係しているという証拠を提示する必要はあるでしょう。

お菓子代、お茶代の勘定科目

お菓子代、お茶代を経費処理する場合は、どのような目的で購入したかによって勘定科目が異なります。それぞれのパターンについて見ていきましょう。

お菓子代、お茶代を経費処理する場合の勘定科目

  • 交際費:取引先、得意先へ贈答品、謝礼品、手土産
  • 会議費;社外の人との商談、社内の打ち合わせや会議で出すお菓子代、お茶代
  • 福利厚生費:従業員への休憩時の差し入れ

交際費

贈答用や来客用のお菓子代、お茶代

取引先や得意先への贈答品、謝礼、手土産にかかったお菓子代、お茶代は交際費(接待交際費)として処理します。来客用として用意した場合や、外部の人との商談時に購入したお菓子代、お茶代も交際費(接待交際費)として処理するとよいでしょう。なお、社外で商談をしながら飲食をした場合も同様です。

福利厚生費

社員への休憩や差し入れ

社員へ提供するお菓子代やお茶代は、福利厚生費として処理します。例えば社員が休憩時に食べられるように給湯室にお茶やコーヒーを用意した場合や、差し入れで買ってきたおやつは福利厚生費になるでしょう。福利厚生は社員のためにあるもので、休憩用や差し入れのお菓子、お茶は社員の満足度やモチベーションを上げ、作業効率アップにもつながるはずだからです。

なお、社長や、特定の役員や社員のみに提供するお菓子やお茶の費用は、その人物に対する報酬や給与としてみなされるので注意しましょう。福利厚生費として認められるには、全社員を対象とし、社内において一律に供される必要があるからです。

個人事業主でも社員がいる場合は経費計上可

福利厚生が社員のために存在するものなので、基本的に個人事業主やフリーランスには「福利厚生」という考え方はありません。ですが、個人事業主でも社員を雇っている場合は、従業員へのお菓子代やお茶代であれば、福利厚生費に計上できます。ただし、この場合の従業員は、家族以外と考えましょう。

会議費

取引先との商談、社員との会議等で出すお菓子代、お茶代

社外の人との商談や、社内で打ち合わせや会議をするときに出すお菓子やお茶の費用は会議費として経費処理します。

なお、会議が長時間となり食事を提供した場合や、打ち合わせを喫茶店等で行った場合の費用も、会議費として計上可能です。会議費と接待交際費との判断基準は、目安として5000円以下であれば会議費として計上することが多いです。

お菓子代、お茶代を経費にできないケース

経費にできるお菓子代、お茶代がある一方で、経費にできない場合もあります。基本的には、自分一人や家族や友人間など、プライベートで楽しむためのお菓子代、お茶代は経費にならないと考えましょう。

個人的なお菓子代、お茶代

個人で楽しむためのお菓子代、お茶代は、経費ではなく家事消費とみなされる可能性が高いです。たとえお菓子を食べたり、お茶を飲んだりしながら仕事をしても、経費にはなりません。社員がいない個人事業主や、役員だけの会社の場合も、お菓子代やお茶代は個人的な支出とみなされる可能性が高いです。

お菓子代、お茶代を経費処理する際の注意点

お菓子代やお茶代を経費処理する際は、万が一税務調査が入っても「経費である」と主張できるようにしなければなりません。指摘されても答えられるように、業務に関係することを証明できる証拠は、丁寧に残すことが大切です。

レシートは経費用と生活用で分けて保管する

お菓子代やお茶代が経費だと分かるようにするには、生活用のレシートとしっかり分けて保管することが大切です。さらに、来客用か社内用かについても、区別しておきましょう。

記録をつけている場合は別ですが、レシートを混同したまま保管していると、あとからレシートを見直しても分からなくなる可能性が高いです。処理があいまいになってしまうことを防ぐためにも、区別はしっかりとつけましょう。

経費用と生活用とを分けて保管しておけば、税務調査でも「このように分けて保管し、混同しないよう管理しています」と主張できるはずです。

経費用レシートには用途を一言メモしておく

経費用と生活用のレシートを区別したら、何の目的で購入したか一言メモしておきましょう。例えば「贈答品」、「会議用」、「差し入れ」などです。メモがあれば、あとから処理する場合も、確実に経費として判断できるはずです。

お菓子代、お茶代の経費計上は常識の範囲内に

交際費や福利厚生費、会議費は、それぞれ度を超すと税務調査で質問や追及を受ける可能性があります。一回分は少額でも積み重なると金額が大きくなることもあるでしょう。

お菓子代やお茶代など細かい経費は後から事実確認するのが難しく、レシートをしっかり区別し、「基準を設けて処理しています」と示せれば税務調査でも問題ないことはあります。しかし、決算書の数値や事業規模に対し金額が大きすぎると否認されることもあるので注意しましょう。

例えば、毎日のようにスーパーやコンビニで購入したお菓子代、お茶代が入っていると、不自然と厳しい目で見られやすいです。あるいは、年間50万円も福利厚生費としてお菓子代が計上されていると、社員への現物支給と疑われる可能性もあります。

お菓子代、お茶代からほかの項目についてもチェックされる可能性があるので、経費に入れる際は常識の範囲内にとどめることがポイントです。

お菓子代、お茶代は購入目的に合わせた仕訳を

個人的、生活用との区別はしっかりと!

来客用や社員のためのお菓子代やお茶代は経費計上が可能です。それぞれの仕訳は「誰のために、何の目的で」購入したかで勘定科目が異なります。基本的に社外の人へのお菓子やお茶は交際費、社員に対しては福利厚生費と考えるとよいでしょう。その他、打ち合わせや会議のために用意したお菓子やお茶は会議費として処理します。

お菓子代やお茶代は、個人事業主でも社員を雇っている場合は経費にできますが、家族は対象になりません。また、基本的に自分が楽しむお菓子やお茶は経費にできませんが、飲食に関する事業を行っている場合は経費にできる場合もあります。

お菓子代やお茶代は経費にできるとはいえ、金額が大きすぎると、税務調査が入ったとき否認されるリスクもあります。注意点を押さえつつ、生活用との区別もつけながら適切に経費計上するようにしましょう。

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