リゾート会員権は経費計上できる?会計処理の種類や注意点

リゾート会員権は経費計上できる?会計処理の種類や注意点経費で節税する
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リゾート会員権の購入を検討するにあたり、経費計上ができるかどうかが気になる点ではないでしょうか。会員権は高額ですし、リゾートホテルは一泊でも高額なケースが多いため、
経費として上手に活用したいところです。リゾート会員権は目的や用途によって会計処理の方法が異なります。今回はこの記事で、どういうケースであれば経費計上ができるのか、注意したいポイントなどについてご紹介します。

リゾート会員権は経費計上できる?

国内の主なリゾート会員権には、エクシブやベイコート倶楽部、東急ハーヴェスト、星野リゾートなどが挙げられます。リゾート会員権によっては、海外のホテルで適用できる場合もあります。

こうしたリゾート会員権は、かかる費用の目的などによって、経費計上できる場合とできない場合とがあります。リゾート会員権の所有形態を知るとともに、どのような場合であれば経費計上し節税に活用できるのかを見ていきましょう。

リゾート会員権の種類

共有制(オーナーズクラブ制)

リゾート会員権の主な所有形態のひとつは、共有制です。オーナーズクラブ制とも呼ばれます。共有制はリゾート施設の所有権を、複数の会員で共有する方法で、エクシブや東急ハーヴェストで導入されています。共有制の場合、不動産登記が必要となるため、固定資産税が発生するのが特徴です。

預託制(メンバーズクラブ制)

預託制はメンバーズクラブ制とも呼ばれる、リゾート会員権の所有形態です。入会の際、入会金と預託金とを預ける形で、施設の利用券を取得できます。ラフォーレ倶楽部などで導入されています。

共有制と違い、預託制は施設所有権を持つことができません。預託金はリゾート施設の運営会社が取り決めた据え置き期間が経過したあと、退会時に無利息・無配当で返金されます。据え置き期間は10~20年程度が一般的です。

リゾート会員権を経費にする場合の考え方

所有期間中は資産になる

リゾート会員権は所有している間、どの種類も基本的に経費計上ができません。リゾート会員権の価値が時間経過とともに減るわけではないので、資産としてみなされるためです。例えば、共有制の場合登録料や入会金、保証金も資産計上します。預託制の場合も、預託金は解約時まで資産計上することになります。したがって、リゾート会員権を購入したからといって、所有している限りは大きな節税につながるわけではないと考えられます。

ただし、預託制の場合、保証金のうち返還されない部分は繰延資産として5年償却が可能です。

また、リゾート会員権は資産ではあるものの、建物自体を専有できるわけではなく、条件付きで使用できるものになります。さらに会員権の種類によっては、利用制限がある場合や、共有制の場合、希望額で購入してくれる人が見つかるまで売却できないなど時間がかかることもあります。購入の際は、慎重に考慮する必要があるでしょう。

経費計上できるのはリゾート会員権の売却または退会時

所有期間中経費にできないリゾート会員権ですが、売却・退会したときには経費計上することができます。売却の場合、取得時より高値でリゾート会員権を売れた場合は売却益、低い金額だった場合は売却損が出ますが、それぞれ経理処理の仕方が異なります。

経費計上ができるのは売却損が出た法人会員のみ

リゾート会員権の売却損が出た場合、法人であれば事業所得や給与所得など他の所得と損益通算が可能です。損失が出た分だけ、経費処理します。

個人の場合は、売却損が出ても損益通算不可

個人事業主や社長が個人名義で加入しているリゾート会員権については、売却損が出ても所得との損益通算や、繰越はできません。リゾート会員権を個人の所有物とみなされないようにするには、法人で所有するほうが有利と考えられます。

売却益が出た場合は利益として申告

法人・個人ともに、リゾート会員権による売却益が出た分は、利益として課税対象になります。個人の場合は、総合課税の譲渡所得として課税されます。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得として経理処理します。

共有制の場合、建物部分は減価償却費で経費計上できる

基本的に資産となるリゾート会員権ですが、共有制の場合、建物部分は減価償却費で経費計上が可能です。不動産として資産計上しつつ、建物の部分は減価償却で経費化できるでしょう。

リゾート会員権の年会費・管理費は経費計上可能

リゾート会員権の購入費用等は経費計上できませんが、年会費・管理費、利用料については経費化が可能です。ただし、年会費・管理費もどのような目的で利用されるかによって、会計処理が異なります。ちなみに、従業員が自己負担分を現地決済した利用料については経理処理が不要です。

接待目的なら交際費で経費計上

リゾート会員権の年会費・管理費を、得意先や仕入れ先などへの接待目的で利用する場合は、交際費として会計処理します。接待目的であれば、リゾートホテルの宿泊や飲食以外に、ラウンジで打ち合わせをした場合の費用も、交際費として経費計上が可能です。ただし、交際費の上限には注意しましょう。

社内で利用する場合は福利厚生費で経費化

リゾート施設の利用を従業員の福利厚生目的で行う場合は、年会費・管理費を福利厚生費として経費計上できます。ただし福利厚生費は全従業員が平等に利用でき、実際に利用していることが条件となります。福利厚生費は従業員のモチベーションアップにも効果的ですが、リゾート会員権を福利厚生費にする場合は社内に利用規定等を作成し、全従業員に周知しておくようにしましょう。また、利用状況の記録をつけ、保管しておくこともおすすめします。

リゾート会員権の個人利用で給料とみなされないように注意

利用も経費計上も「ビジネス目的での活用」が通る範囲で

注意したいのは、個人利用が目的と判断された場合、リゾート会員権の取得費用は給与とみなされ、源泉徴収義務が発生することです。例えば福利厚生費で計上しても、実質的に経営者や役員など、特定の人しか利用していない場合や、交際費で計上しているのに家族の利用がメインの場合などです。さらに、給与の要件も満たしていない場合は、経費計上していても税務調査で否認されます。

ただ、実際のところ家族旅行でも、配偶者までは「得意先を接待した」という理由にして経費化している中小企業が多いようです。子どもの分まで含めると、「明らかにビジネスではない」と判断される可能性が高いので、家族旅行費を経費化する場合は、子どもの旅費分は省き、経費計上しましょう。

リゾート会員権は経費ではなく資産に計上

年会費・管理費は目的に応じた経費計上を

リゾート会員権は共有制や預託制などの種類がありますが、購入しても資産となるため、経費計上は困難です。

ただし、会員権を売却・退会したときや、年会費・管理料など一部については経費化ができるでしょう。売却・退会時に発生した売却益・売却損については、法人・個人とで会計処理が異なります。また、年会費・管理費についても、目的や用途に合わせ適正に処理を行いましょう。

リゾート会員権は資産となるため、購入しても大きな節税に結び付くわけではありません。しかし、上手に活用すれば、リゾート施設をお得に利用することが可能です。購入を検討する際は、不明な点を顧問税理士など専門家にも相談しつつ、考えてみてはいかがでしょうか。

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