広告宣伝費で節税するには?広告宣伝費の種類や節税に効果的なタイミング、注意点

広告宣伝費で節税するには?広告宣伝費の種類や節税に効果的なタイミング、注意点経費で節税する
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自社をアピールするための費用である広告宣伝費は、うまく活用すれば節税効果も期待できる経費です。とはいえ、タイミングを間違えると思ったような効果が得られないことも。今回はこの記事で、広告宣伝費の概要とともに、節税効果を生み出すために押さえておきたいポイントについてご紹介します。

広告宣伝費とは?

自社や自社の商品・サービスなどを不特定多数に宣伝するための支払い

広告宣伝費は、自社や自社の商品、サービスなどを宣伝する費用です。不特定多数の人に相手に行うのが特徴で、活用することにより節税効果が期待できます。

広告宣伝費の主な種類

広告や宣伝の手段は、新聞や雑誌などのメディアを媒介する方法や、ポスター、チラシ、DMなどを作成するなど、さまざまな方法があります。主な広告宣伝費の種類は下記の通りです。

  • ホームページの作成、Web広告(メール広告、リスティング広告、アフィリエイト広告等)
  • 交通広告(電車やバス、タクシーの車内、駅構内やバス停など)
  • 新聞・雑誌、業界紙への広告費用
  • ポスター、チラシ、DM作成、印刷、発送にかかる費用
  • TVやラジオのCM作成費
  • 会社案内やパンフレット、カタログ、名刺作成、印刷費用
  • 社名入りカレンダー、手帳、文房具、日用品などの作成費

広告宣伝費は未来への投資という役割も

広告宣伝を行うことは、節税だけでなく自社を売り込み、存在を知ってもらえるメリットがあります。

もちろん、広告や宣伝を打つには、広告宣伝費として、ある程度まとまった費用がかかります。しかし、数か月後には、売上アップや知名度アップなど、かかった費用以上の効果が生まれる可能性も考えられます。将来的な業績向上につながるチャンスがあると考えれば、広告宣伝費は未来への投資ともいえるでしょう。

未来への投資という面で、広告宣伝費は前向きな支出ともいえます。例えば、決算期直前に思わぬ利益が出た場合、経費を増やすために物品を購入するのも節税対策のひとつです。しかし、物品を購入すれば、その分現金は出ていくことになります。節税できたとしても、節税以上の購入費用がかかれば会社のお金は減ってしまうことになり、本末転倒でしょう。

広告宣伝費の場合は、費用はかかっても将来的に会社の利益に貢献する可能性があります。会社にとってはプラスの支出になると考えられます。

経費計上のタイミングは「広告掲載日」

経費にできる費用はさまざまですが、計上できるタイミングもそれぞれに異なります。広告宣伝費の場合は、「広告が掲載された日」、つまりサービスを受けたタイミングで計上できます。基本的には支払いをしたタイミングではありません。

決算時期近くの広告出稿は節税に効果的

事業年度内の広告掲載で、まとまった額を節税できる

決算時期が近づき、思ったより利益が出そうな場合や、例年より経費の金額が少ない場合などは、「少しでも経費を増やして節税したい」と考える経営者が多いです。広告宣伝費の場合も、広告掲載日が事業年度内におさまる場合は、決算時期近くに広告を打つことで節税をしやすくなるでしょう。

広告宣伝費を節税に活用するときの注意点

広告の出る時期を考えて宣伝を打つ

広告宣伝費による節税を効果的に行うには、広告が出る時期を考えて宣伝することが重要です。経費計上できるタイミングが「広告掲載日」だからです。

特に、決算期直前に宣伝を打つ場合は、事業年度内に広告の掲載や、DMの発送・チラシの配布が行われるかなどを注意しましょう。事業年度の終了日を過ぎて広告の掲載や発送等が行われる場合は、来年度の経費として扱うことになるからです。広告宣伝は慌てて行わず、必ず掲載日を確認してから動きましょう。

広告宣伝費と交際費との線引きをしっかりと

線引きのポイントは「不特定多数」への宣伝かどうか

広告宣伝費は、交際費との区別に迷うケースもあるようです。どちらの項目で会計処理をするか迷ったときは、宣伝の対象者が不特定多数かどうかを基準に判断しましょう。

税法に置いて、広告宣伝費は「カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用」や、「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用」とされています。不特定多数の人は、一般消費者と考えてよいでしょう。

なお、国税庁のサイトでは、交際費と広告宣伝費との区分について下記のケースに該当する場合は、交際費等に当たらない広告宣伝費であると記載されています。

 (1) 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用又は一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用

(2) 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用

(3) 製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための費用

(4) 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用

(5) 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用

(6) 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用

(7) 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用

(引用:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分[平成31年4月1日現在法令等] (措法61の4、措令37の5、措通61の4(1)-1、61の4(1)-9)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5260.htm

特定の相手への宣伝は交際費に

不特定多数の人を対象とするのが、広告宣伝費の判断基準であるのに対し、特定の相手へ自社の宣伝をすることは交際費となります。具体的には、「得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用」が交際費等にあたると税法で定められています。

あお、国税庁のサイトでは、交際費等と広告宣伝費との区分について、下記のようなケースは不特定多数の人(一般消費者)が対象ではない宣伝活動であると示されています。交際費等に区分される可能性が高いので注意が必要です。

  1. 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
  2. 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
  3. 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
  4. 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
  5. 機械又は工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

(引用:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分[平成31年4月1日現在法令等] (措法61の4、措令37の5、措通61の4(1)-1、61の4(1)-9)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5260.htm

不特定多数の人に対し宣伝しているつもりで経費計上していて、税務調査で交際費等の範囲だと指摘された場合は、追加で税金を支払わないといけないこともあります。せっかく節税対策として広告宣伝をしても、追加の税金が発生すれば元も子もありません。経費計上をする際は、広告宣伝費と交際費等との線引きをしっかりと行うことが大切です。

広告宣伝費の会計処理に迷ったときは税理士に相談を

節税対策として広告宣伝費を計上したい場合、会計処理で迷ったときは、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。交際費との区別がしづらい場合はもちろん、下記のような場合は広告宣伝費として全額経費にできず、資産として処理する必要があるからです。

  • 高額で使用期間が1年以上の固定資産がある場合
  • 広告宣伝用の棚、看板、車などを販売店などに贈与した場合の繰延資産
  • 1年以上の前払費用がある場合
  • 広告宣伝用の物品が手元に残っている場合

広告宣伝費での節税で重要なのはタイミング

節税に効果的なタイミングを見計らって広告宣伝費の活用を

広告宣伝費は節税対策として有効な手段のひとつです。「広告掲載日が経費計上できるタイミング」であることを押さえておけば、効果的に活用することができるでしょう。特に決算期前に広告を打つ場合は、事業年度が終了するまでに広告が掲載されないと経費計上できません。

交際費等との混同にも注意が必要です。判断基準は、不特定多数が対象の支払いかどうかがポイントですが、判断に困ったときは税理士に相談しましょう。

広告宣伝を打つと、一時的に会社からお金が出ていきます。しかし、長い目で見れば一般に自社の認知度を上げ、利益アップにつながる可能性のあるものです。未来への投資という建設な目的で、上手に活用してみてはいかがでしょうか。

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