個人事業主や法人は携帯電話代を経費にできる?

個人事業主や法人は携帯電話代を経費にできる?経費で節税する
この記事は約8分で読めます。

個人事業主や法人の場合、仕事で携帯を使う機会も多く、携帯電話代を経費にしたいと考えている人は多いのではないでしょうか。そもそも携帯電話の料金は経費にできるものなのか分からない人もいるかもしれません。今回はこの記事で、携帯電話代を経費にできるのか、認められる場合、個人事業主や法人別でどの程度計上しても問題ないかについて解説します。

個人事業主も法人も携帯電話代を経費にできる

携帯電話代は、法人も個人事業主も経費計上が可能です。今や個人事業主も法人も、スムーズなビジネスの進行には携帯電話が必須の時代です。個人契約の個人携帯であっても、仕事で使っている分については、経費として認めてもらいやすいでしょう。

携帯電話代を経費にするポイント

携帯電話代の経費化は「業務で使用した分だけ」が大前提

個人事業主、法人ともに、携帯電話代を経費計上するときのポイントは、「業務で使用している」ことが前提であることです。プライベート専用の携帯はもちろん、プライベートと兼用の携帯の場合は、全額経費計上することはできません。

携帯電話代を経費として認めてもらうには、実際に仕事で使用していることが説明できるようにしておくことも大切です。経費に計上したい携帯電話の話番号は、名刺や仕事で使う書類に記載し、「業務用」で使っていることが分かるようにしましょう。仕事で使う書類とは、例えば取引先とのやり取りや、税務署、金融機関への各種届出などがあります。

法人契約の携帯電話代は全額経費が認められる可能性も

携帯電話代は、少しでもプライベートで使っていると全額経費にすることはできません。ですが、法人契約として完全に業務用で使っていることを証明できれば、全額経費計上しても、認められる可能性はあるかもしれません。

法人携帯は、各携帯電話会社に問い合わせるか、ショップの窓口でも相談できることが多いです。契約時は名刺や印鑑、登記簿謄本等が必要になることもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

なお、法人契約をすることは、経費計上以外にもメリットがあります。個人の利用プランより、利用料金が安く設定されていることもあるからです。個人契約の場合より毎月の料金を節約できれば、年間を通じてまとまった額を節約できる可能性もあるでしょう。

支払いは会社名義の口座から行うのがポイント

法人携帯を契約する場合は、携帯電話代の支払いを会社名義の口座から行うようにしましょう。法人口座からの口座振替や法人カードでの支払いにすることで、携帯の使用が会社から個人への貸し出しという建前もできるからです。

なお、法人契約をしても、個人名義での支払いをする場合は全額経費にすることはできません。仕事とプライベートとで使用割合に応じて精算することになります。

個人事業主が法人契約できるキャリアも

携帯電話の法人契約は、基本的に法人が対象ですが、キャリアによっては個人事業主でも契約できることがあります。個人事業主が法人契約をする場合は、青色申告書、開業届のいずれかが必要になることが多いです。相談する際に確認しておきましょう。

法人の携帯電話代を経費化する方法

法人は「通信費」として経費計上可能

携帯電話代は、法人と個人事業主とで経費計上の仕方が異なります。法人は、事業用の普通預金口座から携帯電話代を支払った場合、「通信費」に仕訳します。

例:10/1に10,000円の携帯電話代を支払った場合
日付勘定科目借方勘定科目貸方
10/1通信費10,000普通預金10,000

ちなみに、携帯電話代以外に、本体代やスマホケースなどのアクセサリー代も経費計上が可能です。本体代は分割して支払うのであれば、通信費と合算して計上可能です。もし本体代を一括で支払った場合や、スマホケースなどを別途購入した場合などは、消耗品費として計上することが多いです。

法人携帯で家族の携帯電話も経費化可能

携帯電話を法人契約すれば、家族の携帯電話代も経費化できる場合があります。まとめて経費にできれば、多少なりとも節税効果を期待できるでしょう。ただし、家族であれば誰でも経費にできるわけではありません。あくまで家族が会社役員や従業員であるなど、業務と関わりがあることが必要です。安易に経費化して税務調査で否認されることがないよう、注意しましょう。

個人事業主の携帯電話代を経費化する方法

個人用途と事業用途での按分割合が重要に

法人契約をしていない個人事業主の場合は、携帯電話代をプライベートとビジネスとで按分し、経費化することになります。

按分の割合については、明確なルールがあるわけではありません。かといって、具体的に「仕事で〇〇社に電話で〇分、情報収集のための時間が〇分」など一つひとつ確認するのも大変な作業でしょう。一般的には、ほとんど仕事で使うのか、半々くらいなのか、プライベートで使うほうが多いのかなど、おおよその使用時間から、比率を出すことになるでしょう。

完全に事業専用で携帯電話を使っている場合

個人用の携帯でも、完全に事業用で使用し、プライベート用はほかに携帯がある場合は、携帯電話代を全額経費計上することは可能です。ただし、9割は業務用で使用しているとしても、1割はプライベートで使っているのであれば、経費計上できるのは9割ということになります。

業務用の割合が多い場合に注意したいのは、税務調査で指摘される可能性が高いことです。したがって、全額を経費にする場合は、完全な事業用携帯だと明確に説明できることが前提となります。

業務の多くを携帯電話で行っている場合

携帯電話の使用割合が、プライベートより業務のほうが多い場合は、7~8割を経費に計上することが多いです。営業や現場作業が多い人や、インターネットを使う仕事をしている人の中には、日頃から取引先や顧客とのやり取りに携帯電話を使うことも多いでしょう。

取引先との連絡や情報収集に携帯電話を使う場合

プライベート兼事業用として、取引先との業務連絡や、簡単な情報収集に使うなどの場合は、携帯電話代の5割を経費として計上する方法があります。個人事業主の場合、個人用と業務用との使用頻度が半々程度になるケースは多いといわれています。

パソコンや現場作業が多く業務にあまり携帯電話を使わない場合

事業用より、プライベートで使用する頻度のほうが多い場合には、携帯電話代の2~3割を経費計上することが多いです。例えば、普段あまり携帯で仕事の電話をしない、情報作業はパソコン作業が主体の場合などは、経費にする割合は低くしたほうがよいでしょう。

個人事業主の仕訳方法

個人事業主が携帯電話代を経費にするときの仕訳は、個人口座から支払う場合と、法人口座から支払う場合とで異なります。

個人口座から支払った場合は、勘定科目に「事業主借」を使います。「事業主借」とは、本来は事業用として法人口座から支払うべき経費を、個人が負担した場合に使用する勘定科目です。

例えば10/1に10,000円の携帯電話代が発生し、事業用の使用割合が半分だとすると、5,000円を経費計上することになります。会計処理は下記の通りです。

個人口座から携帯電話代を支払った場合の会計処理
日付勘定科目借方勘定科目貸方
10/1通信費5,000普通預金5,000

一方、法人口座から携帯電話代を支払った場合は、「通信費」と「事業主貸」との勘定科目を使用します。「事業主貸」は、本来故人が負担すべき経費を、会社(法人口座)で立て替え、支払ったことを意味します。

先ほどの例を法人口座から支払った場合は、次のような経費計上になります。

法人口座から携帯電話代を支払った場合の会計処理
日付勘定科目借方勘定科目貸方
10/1通信費5,000普通預金10,000
 事業主貸5,000  

なお、個人事業主の場合、携帯電話の本体代やスマホケースなどのアクセサリー代は、携帯電話代と同じく使用割合に応じ、按分するのが一般的です。例えば、携帯電話代の半分を業務用として経費にするのであれば、本体代やスマホケース代なども半分を経費として計上します。

携帯電話代を経費にする際の注意点

明細書や契約書を保管しておくこと

法人、個人事業主ともに注意したいのは、携帯電話代が経費であることを証明できる書類を保管しておくことです。例えば毎月送られてくる明細書です。ネット明細の場合は、契約時の契約書類を保管しておきましょう。毎月の支払いを証明できる書類であることがポイントです。

携帯電話代が高額な場合は理由を説明できるように

携帯電話代が高額になると、税務署からの指摘も受けやすくなります。料金が高い場合は、「電話のやり取りが多い」といった理由も説明できるようにしておきましょう。

経費にする携帯電話代は常識の範囲内に

携帯電話代を按分する割合についても、常識の範囲で計上することが大切です。何もかもまとめて経費にすればいいわけではないからです。会社と全く関わりがない家族の携帯電話代や、プライベート専用の携帯電話代は、当然経費にできません。業務と兼用している携帯電話も、少しでもプライベートで使っているのであれば、全額経費にするのは難しいでしょう。

適切な処理をしていないと、税務調査で指摘された場合追徴課税などの罰則を受ける恐れもあります。社会的信用を失うリスクもあるでしょう。あくまで経費にできるのは「ビジネスに関係する支払いに対してのみ」です。前提を忘れないようにしましょう。

個人事業主も法人も「法人携帯」で経費にするのが効果的

事業に使用した携帯電話代は経費化可能

携帯電話代は個人事業主も法人も、経費にすることは可能です。プライベートとの兼用の場合は、使用割合に応じて適切に按分し、経費計上しましょう。

ただし、携帯電話代が経費になるのは、あくまで「事業に使用した分」であることが前提となります。したがって、完全に事業用の携帯の場合は、全額を経費計上しても認められる可能性があるでしょう。例えば法人契約にして、完全に事業用であることを証明できれば、より認められやすくなるかもしれません。按分割合や法人契約については、顧問税理士とも相談しながら、より節税につながる方法を探してみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました