公共料金を経費にする。会計処理方法と注意点

公共料金を経費にする。会計処理方法と注意点経費で節税する
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電気代、ガス代、水道代などの公共料金は、業務に使用している分の経費化が可能です。ただし、利用状況により、全額経費にできることもあれば、そうでない場合もあります。毎月支払う費用だからこそ、少しでも節税効果を生み出すためにも、経費計上するポイントを押さえておきたいところです。今回はどんなときに公共料金を経費にすることができるのか、条件や会計処理の方法、注意点などをご紹介します。

公共料金を経費化するポイント

事務所を構えている場合は全額経費計上可

個人事業主、法人ともに、事務所を構えている場合は、公共料金を全額経費計上できます。事務所の維持費の一環と考えられるからです。

自宅兼事務所の場合は按分して計上する

自宅兼事務所の場合は、業務で使っている分を按分して経費計上が可能です。全額経費化することはできませんが、プライベートの利用割合を除き、経費計上を行うことになります。なお、自宅とは別に事務所を構えていても、自宅は自宅兼事務所にすることが可能です。取引先等を自宅に招き接待する可能性もあるからです。

家事按分の設定が重要

公共料金の按分は、明確な基準や決まりがあるわけではありません。自宅兼事務所を、事業用とプライベートとで、それぞれどの程度の割合を活用しているか考えて、按分しましょう。ただ、税務署に按分の根拠を聞かれたとき、納得いく説明ができるよう、割合を決めることが大切です。

公共料金を按分するときの考え方

電気代を経費化する場合

公共料金のうち、電気代を経費化する際は、「業務:プライベート=5:5」の半分を目安に按分するのが一般的です。例えば電気代が20,000円だとしたら、半分の10,000円を経費計上するイメージです。

また、使用時間やコンセントの数を考慮して按分するのも手段のひとつです。半分以上を経費計上することも可能ですが、税務調査で追及や否認されるリスクがあるので注意しましょう。

ガス代を経費化する場合

ガス代の場合も、基本的には半分を目安に経費計上が可能です。例えば自宅の1階が飲食店だったり、自宅の一部を料理教室として使ったりしている場合は、事業をするのに大量のガスを使うこともあるからです。

ガスを使わない事業では経費化が難しい

ガス代の場合は、事業者によって経費として認められないこともあるので注意が必要です。例えばインターネット関連の事業を行っている場合です。業務でガスを使うとは考えにくい事業では、経費を認められない可能性が高いでしょう。

床暖房は経費化できる可能性あり

ガスを使わない事業をしている場合でも、床暖房がある場合は、経費化できる可能性があります。ガスで床を温める床暖房なら、取引先等を自宅兼事務所に招いたとき、快適に過ごしてもらうために床暖房を活用するという理由ができるからです。

ただし、床暖房を理由に経費化するのは、10月~翌年の5月くらいまでとなるでしょう。床暖房は寒い時期にしか使わないはずだからです。

水道代を経費化する場合

電気代やガス代と同様、水道代も半分程度を経費化するのが一般的な目安とされています。水回りは主に、トイレ、キッチン、お風呂、洗濯などが考えられます。このうち取引先等を迎え入れたとき、水回りで使用するのはトイレくらいと考え、25%分だけ経費化することもできます。ですが、お茶出しや、洗い物をすることなどを考慮すると、半分程度経費化しても認められることが多いです。

公共料金を経費計上するタイミング

使用日に経費処理が基本

水道光熱費などの公共料金は、メーターの使用日で経費計上するのが基本です。検針により請求された1月分の電気代は、1月に使用した電気として経費計上をするイメージです。

例えば、3月分の電気代が5,000円で、4月末に口座振替にて支払うときは、3月に経費計上した上で、4月にも支払いの仕訳を行います。

日付借方貸方摘要欄
勘定科目金額勘定科目金額
3月31日水道光熱費5,000未払金5,0003月電気代
4月30日未払金5,000普通預金5,0003月電気代

なお、水道代は2か月ごとの支払いが一般的です。例えば3月、4月分の水道代が10,000円で、それぞれ5,000円ずつの水道代だったと仮定します。5月末に口座振替で支払うとして、使用日で経費処理する場合は、次のように仕訳を行います。

日付借方貸方摘要欄
勘定科目金額勘定科目金額
3月31日水道光熱費5,000未払金5,0003月水道代
4月30日水道光熱費5,000未払金5,0004月水道代
5月31日未払金10,000普通預金10,0003月、4月水道代

水道代の場合は、請求があるまで代金が分からないため、見込み金額で一旦仕訳し、金額が分かってから差額修正をしても問題ありません。

支払日の経費計上でもOK

公共料金の経費計上は、実務上は支払日で会計処理することも多いです。例えば3月分の電気代5,000円を4月末に口座引き落としで支払う場合は、下記の通り仕訳します。

日付借方貸方摘要欄
勘定科目金額勘定科目金額
4月30日水道光熱費5,000普通預金5,0003月電気代

支払日で経費処理しても問題ないのは、1年間の事業年度で見ると、3月に経費計上しようが、4月に経費計上しようがあまり大した差はないからです。

さらに、会計原則にも、「重要性の原則」があります。重要性の原則は、「金額的・内容的にそれほど重要ではないものであれば、手間をかけて処理する必要はなく、簡便的・便宜的な処理をしてもよい」とする原則です。いわゆる、「大勢に影響がない」とされる考え方です。

電気代やガス代などは、検針日に応じて請求されますが、必ず月末に検針されるとは限りません。月によっては翌月頭に行われることもあります。常に1日~末日の請求をされるかは分からない上に、自分で厳密に1か月の使用分を把握するのも手間がかかります。

水道光熱費は1年間を通じて大幅に変動することは少なく、大勢に影響がないのであれば、支払日で計上しても問題ないというのが一般的な考え方です。

翌年度をまたぐものに注意

公共料金を支払日で経費処理する場合は、事業年度をまたぐときに注意が必要です。決算月までに使用または発生した公共料金でも、翌年度(翌期)に支払う場合は翌年度(翌期)の経費となるからです。例として、3月が決算月で、電気代を4月に口座振替をするときの仕訳を見ていきましょう。

日付借方貸方摘要欄
勘定科目金額勘定科目金額
3月31日水道光熱費5,000円未払金5,000円3月電気代
4月30日未払金5,000円普通預金5,000円3月電気代

なお、事業によっては毎月継続することを条件として、決算時の未払計上を省略し、支払時の経費処理で問題ない場合もあります。判断に迷う場合は、所轄の税務署や税理士に相談して処理するようにしましょう。

事業によっては支払日で処理できない

多くの事業は支払日で経費処理しても問題ないものの、事業によっては認められない場合があります。例えば製造業など、電気、ガス、水道を大量に使用する事業を行っている場合です。金額が大きく、製造状況によって金額の変動も大きくなる場合は、使用日で経費処理する必要があるでしょう。

経費処理方法は統一する

経費処理は使用日、支払日のどちらでも問題ありませんが、どちらかに統一することが重要です。会計原則には、一旦1つの方法を採用した場合は、その方法を継続しなければならないとする、「継続性の原則」もあるからです。途中までは使用日で計上しているのに、いつの間にか支払日で計上しないよう、どちらかに決めて処理するようにしましょう。

勘定科目は「水道光熱費」を使って仕訳する

電気代、ガス代、水道代を経費処理する際の勘定科目は、「水道光熱費」を使用します。

また、支払い方法は、「口座振替」以外に、コンビニ等で現金払いをすることもあります。現金払いをしたときは、「貸方(勘定科目)」を「現金」として処理します。

公共料金を経費計上する際の注意点

事業所は法人口座から支払いをする

事務所を構えている場合の公共料金の支払いは、法人口座から行いましょう。事業所の公共料金を会社の支出として全額経費にするには、会社の「財布」から支払わないと認められないからです。個人事業主の場合も、事業用口座から支払いましょう。

自宅兼事務所の場合は個人口座から支払う

自宅兼事務所の公共料金の支払いは、個人口座から行うのが一般的です。一旦「個人」の財布で立て替えておき、その後按分した分を会社から支払ってもらう流れにするためです。

支払い明細、領収書を保管

公共料金を経費化する際は、他の経費処理同様、領収書や支払い明細など証拠書類を残しておきましょう。支払いの証明書類がないと、税務調査で否認されるリスクが高くなるからです。

公共料金は会社で基準を決めて経費処理

自宅兼事務所の場合は家事按分をしてから経費計上を

公共料金は、事務所を構えている場合は全額、自宅兼事務所の場合も業務で使用する分は按分し、経費計上が可能です。按分の割合は、電気代、ガス代、水道代は半分が目安です。ただし、ガス代は事業内容によって按分しても経費に認められない可能性があるので、注意が必要です。

また、料金の支払いは、事業所の分は法人口座から行いますが、自宅兼事務所の場合は一旦個人が立て替え、その後按分した分を会社が支払う形を取りましょう。

経費処理するタイミングは、使用日、支払日のどちらで行っても問題ありませんが、統一することが重要です。ポイントや注意点を押さえながら、適正な経費処理を心掛けましょう。

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