個人型確定拠出年金(iDeCo)は掛金が控除される
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入をすると「節税」ができます。なぜなら、個人型確定拠出年金は掛金が全額控除されるからです。また個人型確定拠出年金(iDeCo)で得た運用益は非課税になるので大きな節税効果が期待できます。
個人事業主の方はもちろん、給与所得者の方も税制優遇措置の対象となる個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用しましょう。本記事では、個人型確定拠出年金で節税できる仕組みと、控除申請の方法について説明します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の節税効果は3つ
個人型確定拠出年金(iDeCo)には、大きく分けて3つの「節税効果」があります。
掛金で節税
個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、全額控除の対象(=小規模企業共済等掛金控除)となります。
小規模企業共済法に規定された、共済契約など「掛け金の支払い」はすべて所得控除の対象(正式名称は小規模企業共済等掛金控除)となります。
小規模企業共済法で、掛金が控除となるのは個人型確定拠出年金のほか、企業型年金加入者掛金のほか、中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛け金、地方公共団体による心身障害者扶養共済制度の掛金が該当します。
小規模企業共済等掛金控除では、その年に支払った掛金の全額が控除の対象となります。
参考リンク:No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁
運用益で節税
個人型確定拠出年金(iDeCo)では運用をする商品を選び「運用益」を狙いますが、運用で得た利益(例:利息や配当など)も個人型確定拠出年金においては「非課税」となります。
通常、株式などの金融商品を運用すると、通常20.315%(内訳:所得税が15.315%、住民税が5.0%)掛かりますが、個人型確定拠出年金については税金が掛からないので「節税」をしながら資産運用が行える仕組みです。
給付で節税
個人型確定拠出年金(iDeCo)で積み立てた資金は、60歳以降になれば受けとれます。なお、年金の形で受けとった場合は「公的年金等控除」が適用されます。
公的年金等控除が適用されるもの(1) 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
出典元:No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁(国税庁)
(2) 過去の勤務により会社などから支払われる年金
(3) 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するもの
このほか、一時金として受けとった場合には退職所得控除額が適用されるなど(税制優遇措置の)メリットは大きくなります。
個人型確定拠出年金の節税シミュレーション!
個人型確定拠出年金(iDeCo)でいくら節税ができるのか、シミュレーションしてみましょう。
節税シミュレーション!毎月20,000円の掛金を拠出した場合
年収400万円の人が、毎月20,000円の掛金を拠出したとします。一年の掛金総額は「24万円」この場合の所得税は、24万円 × 所得税率20%なので「48,000円」となります。
また住民税は24万円 × 税率10%(一律)なので「24,000円」と求められます。所得税と住民税を足すと【48,000+24,000=72,000円】となり、年間の税負担軽減額は72,000円になります。参考までに「所得税」の税率と控除額を掲載しておきます。
「所得税」の税率と控除額
課税対象となる所得の額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円以上、330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円以上、695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円以上、900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円以上、1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上、4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
みなさんも「節税できる金額がいくらなのか」月々の掛金から計算してみましょう。所得税の税率と計算法については、国税庁の解説が参考になります。
個人事業主は個人型確定拠出年金でこれだけ得する!
個人事業主は個人型確定拠出年金(iDeCo)で、月々68,000円を上限に掛金が拠出できます。この金額は給与所得者や公務員、専業主婦の3〜6倍と非常に大きな金額です。
なお、個人事業主には退職金がなく、退職の明確な時期も定められていません。このため「老後の資金を確保」するという意味でも、個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用する必要があります。
最近では投資信託や株式、FX、ロボットアドバイザーを使い資産運用をする人が増えていますが、投資については「運用益の約2割」を税金で納める必要があります。
こうした税の負担を軽減してくれるのが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の存在です。iDeCoは掛金が全額、所得税と住民税から控除されるうえに運用益も全額非課税となります。このため、個人で投資をするよりも税の負担が無く資産運用できるのでお得です。
実際にいくら得をするのか、節税できる金額は本記事中盤で紹介した【計算式】を使ってシミュレーションしてください。
個人確定拠出年金の税制メリット・デメリット
税制のメリット
確定申告の税制メリットは、本記事冒頭で述べた通り3つあります【掛け金、運用益、給付】における税制優遇措置です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は掛金控除の部分がクローズアップされがちですが、「運用益が非課税」というのも大きなポイントです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)と、通常の預貯金で同じ金額の資金を積み立てたとしましょう。運用益が同じ金額だったとしたら、iDeCoは非課税ですが通常の積み立て貯金には利益の20%が税金として徴収されます。
積立期間をトータルで見ると、利益が非課税というのは大きなメリットと言えます。資産運用を検討中の方は、通常の投資ではなく個人型確定拠出年金(iDeCo)を上手に活用しましょう。
税制のデメリット
個人型確定拠出年金(iDeCo)に税制のデメリットはありませんが、年金額が確定していないことや管理コストが掛かるというデメリットがあります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のデメリット
- 将来の年金額が確定していない
- 管理コストが掛かる(口座開設費用、口座維持費用)
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)全体のデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
個人確定拠出年金(iDeCo)の控除を申請する方法
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、雇用されている従業員の方は年末調整で控除を申請します。また年末調整が間に合わなかった方、個人事業主の方は確定申告で個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除を申請してください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除で注意すべきポイント
個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除で注意したいのは、年間の掛金がそのまま控除されるという訳ではありません。本記事の前半でも解説しましたが、所得税は一年の掛金に、 所得税率20%を掛けて求めます。
また、住民税は一年の掛金に税率10%(一律)を掛けて求め、最終的に所得税と住民税を加算して「税負担軽減額」を求めます。控除額をシミュレーションする際、計算式を間違えないようにしましょう。
まとめ|個人型確定拠出年金(iDeCo)には控除申請が必要
個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用するには、税金の控除が受けられる「控除申請」が必要です。最後に本記事の内容をまとめておきます。
- 個人型確定拠出年金は、掛金控除で節税できる
- 個人型確定拠出年金は、運用益の控除で節税できる
- 個人型確定拠出年金を受取るタイミングで節税できる
- 個人事業者は個人型確定拠出年金の上限額が大きい(月68,000円まで)
- 老後の資金を蓄える上でも個人型確定拠出年金は税制のメリットが大きい
個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入後は、年末調整や確定申告で忘れず「控除の申請」を行いましょう。