青色申告控除で住民税が安くなる!個人事業主が知っておきたい住民税の仕組み

青色申告控除で住民税が安くなる!個人事業主が知っておきたい住民税の仕組み個人事業主に必要な知識
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青色申告控除で住民税が安くなるってホント?

青色申告控除を受けると、住民税が安くなります。青色申告には特別控除があり、最高65万円の控除が適用されるからです。

また、控除額が大きくなると住民税だけでなく、所得税や国民健康保険料も安くなるので「節税効果」は絶大です。

本記事では、個人事業主の方が知っておきたい、青色申告控除と住民税の仕組みについて説明します。

青色申告控除と住民税の仕組み

住民税は「市区町村民税」と「都道府県民税」を合算したもので、前年の所得によって住民税(=市区町村民税、都道府県民税)が決まります。

個人事業主の方が青色申告を行った場合、申告した所得の大きさによって住民税(市区町村民税と都道府県民税)が決定・通知されるので、私たちが住民税を計算し役所に申請する必要はありません。

住民税の納付方法

青色申告を行うと、青色申告の申請内容に沿って市区町村が住民税を計算してくれます。住民税の通知書が送られてくるのは「6月中旬頃」です。

住民税は、指定された役所の窓口や金融機関で納めまてください。また、30万円以下の税金についてはコンビニエンスストアでも支払い可能です。

支払い可能な場所

  • 市区町村役場の指定の窓口
  • ゆうちょ銀行
  • 銀行・信用金庫
  • その他、市区町村指定の金融機関窓口

住民税をネットで納める

一部の県や市区町村では、ネットでの納付を受け付けています。またYahoo!公が使えるので便利です。分割で住民税を納めたい方や、住民税でクレジットカードのポイントを貯めたい方は「Yahoo!公金支払い」のような、ネット納税を利用しましょう。

参考リンク:Yahoo!公金支払い

青色申告控除後、住民税の納付時期は?

住民税は6月末と8月末、10月末、翌年1月末の分割(四回に分けて)で納付をします。

住民税の納付時期

  • 第一回(6月末)
  • 第二回(8月末)
  • 第三回(10月末)
  • 第四回(翌年1月末)

一括でも納付できますが、一括納付の税額控除や優遇などはありません。個人事業主の方は「分割払い」と「一括払い」のどちらか、無理なく納められる方法で納付しましょう。

住民税の計算方法

住民税は「均等割額」と「所得割額」を合算し計算します。

住民税 = 均等割(定額) + 所得割(所得によって変動)  

均等割とは、同じ自治体に住む納税者が同額を納める税金で「市区町村民税」と「都道府県民税」によって成り立っています。一般的に市区町村民税は1,000円で、都道府県民税は3,000円となり「計4,000円」を均等割として定額課税されています。

なお、所得割額は所得によって変動する税金で、課税所得額に10%の税率を掛けて割り出します。

所得割額 = 課税所得額 × 10% 

上の税率10%とは「市区町村民税6%」と「都道府県民税4%」を合算したものですが、自治体によっては独自の税率を設定している場合があります。正しい税率については、お住まいの自治体ホームページや自治体窓口で確認をしてください。

参考リンク:全国自治体マップ検索|地方公共団体情報システム機構

青色申告控除にも必要!所得税の計算方法

前項の所得割を計算するのにも、課税所得額が必要でした。課税所得額(かぜいしょとくがく)とは課税対される所得のことで、住民税をはじめ、青色申告控除でも必要な項目です。課税所得額は、以下の式で計算してください。

課税所得額(課税対象の所得) = 収入 − 必要経費 − 各種控除 

上の各種控除とは、基礎控除や配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、医療費控除など14種類の控除を指しています。下に、課税所得額に関わる「各種控除」をまとめてみました。

課税所得額に関わる「各種控除」

区分適用条件住民税の控除額所得税の控除額
基礎控除すべての人に適用される控除。最高33万円最高38万円 参考リンク:No.1191 配偶者控除(国税庁)
配偶者控除配偶者の合計所得が38万円以下のときに適用される控控除。最高33万円(配偶者の所得によって変わる)最高38万円(配偶者の所得によって変わる) 参考リンク:No.1199 基礎控除(国税庁)
扶養控除16歳以上の子ども、両親を扶養している場合に適用される控除。最高33万円(扶養親族の年齢によって変わる)最高38万円(扶養親族の年齢によって変わる) 参考リンク:No.1180 扶養控除(国税庁)
配偶者特別控除納税者の年収は1,000万円以下、配偶者の合計所得は38万円以上、123万円以下の場合に適用される控除。最高33万円(配偶者の所得によって変わる)最高38万円(配偶者の所得によって変わる) 参考リンク:No.1195 配偶者特別控除(国税庁)
寡婦/寡夫控除配偶者と死別または離婚し、扶養家族がいる場合に適用される控除 ※ 男性と女性では、適用条件が異なります(国税庁の適用条件を確認のこと)。26万円(または30万円)27万円(または30万円) 参考リンク:No.1170 寡婦控除(国税庁)
勤労学生控除学校に通いながら働いている人に適用される控除で、前年度の所得が65万円以下、勤労によらない所得が10万円で適用される。26万円27万円 参考リンク:No.1175 勤労学生控除(国税庁)
寄付金控除ふるさと納税、NPO法人に対して寄付をした金額が控除される制度。・寄附金控除額は、特定寄附金から2,000円を引いた金額になるが、控除対象の寄付金は、総所得金額の30%まで。 ・ふるさと納税は特例分もプラスして控除対象になる。 寄附金控除額は、特定寄附金から2,000円を引いた金額になるが、控除対象の寄付金は、総所得金額の40%まで。 参考リンク:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)国税庁
医療費控除一定額以上の医療費を支払った場合、納税者と生計を共にする配偶者、家族に対して医療費の控除が適用される。支払った医療費 − 保険金 − 10万円(※) ※ 年間所得200万円以下の世帯は10万円ではなく、総所得の5%を差し引く。 支払った医療費 − 保険金 − 10万円(※) ※ 年間所得200万円以下の世帯は10万円ではなく、総所得の5%を差し引く。 参考リンク:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)国税庁
社会保険料控除次の社会保険料を支払った際、適用される控除。 ・健康保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料・国民年金保険料・国民年金基金の掛金・厚生年金保険料など支払った保険料を全額控除支払った保険料を全額控除 参考リンク:No.1130 社会保険料控除(国税庁)
生命保険料控除生命保険料を支払った際、適用される控除。最高7万円まで、支払った保険料を控除する最高12万円まで、支払った保険料を控除する 参考リンク:No.1140 生命保険料控除(国税庁)
地震保険料控除地震保険料を支払った際、適用される控除。最高25,000円まで、支払った保険料を控除する最高5万円まで、支払った保険料を控除する 参考リンク:No.1145 地震保険料控除(国税庁)
障害者控除納税者、控除対象の配偶者、扶養する親族が障害者の場合に適用される。障害者26万円、特別障害者30万円、同居特別障害者53万円が控除される。 ※ いずれも障害者1名あたりの控除額。 障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者70万円が控除される。 ※ いずれも障害者1名あたりの控除額。 参考リンク:No.1160 障害者控除(国税庁)
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済の掛金を支払った際、適用される控除。支払った掛け金を全額控除支払った掛け金を全額控除 参考リンク:No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁)
雑損控除損害(自然災害、火災などの災害、盗難、横領など)を受けた場合に適用される。次の二つのうちいずれか多い方の金額が控除される。
① (差引損失額 – 総所得金額等)×10%
② (差引損失額のうち災害関連支出の金額)- 5万円
次の二つのうちいずれか多い方の金額が控除される。
① (差引損失額 – 総所得金額等)×10%
② (差引損失額のうち災害関連支出の金額)- 5万円 参考リンク:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)国税庁

課税所得額が分かれば、青色申告の計算や住民税の計算にも役立ちます。なお、「青色申告控除の仕組み」については、以下の記事にて詳しく解説しています。

住民税は個人事業主の経費にならない

住民税は、個人事業主の経費として計上できません。住民税は自己資金で支払うのが原則で、事業資金から支払う場合は「事業主貸」として勘定処理を行います。

事業主貸とは? 事業主貸(じぎょうぬしかし)は法人には無い勘定科目で、事業資金を事業主個人の目的のために貸し付ける資金のこと。 個人事業主が経費にできないプライベートな支出は事業主貸になり、資産勘定として計上する。

事業用の口座と、個人の口座を分けていない場合、事業主貸が増えてしまいます。住民税や青色申告の計算がしやすいよう、事業主のプライベート消費と事業消費の口座は分けるようにしましょう。

最後に、本記事の内容をまとめてみました。

  • 青色申告控除で住民税が安くなる
  • 住民税はネット、クレジットカードでも納付可能
  • 住民税は、均等割と所得割を合算したもの。
  • 住民税を計算するには、各種控除額を知っておくこと
  • 住民税は経費にならない

青色申告で受けられる控除と、住民税は全く異なるものです。住民税で支払った資金は、経費計上できません。事業資金から支払う場合は、事業主貸として記帳してください。

また、青色申告と住民税の計算で分からないことがあれば、信頼できる税理士に相談してみましょう。税理士への報酬は経費計上でき、青色申告の代行だけでなく、節税対策についても具体的なアドバイスが得られます。

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