30万円未満の備品は少額減価償却資産の特例で節税できる!

30万円未満の備品は少額減価償却資産の特例で節税できる!経費で節税する
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少額減価償却資産の特例とは

30万円未満の減価償却資産は一括で経費計上可能

少額減価償却資産の特例とは平成18年4月1日から令和2年3月31日までの間に取得した取得価額が30万円未満である減価償却資産について、一括で経費計上することができるというものです。通常、個人や法人が取得した資産は耐用年数により按分したものを経費としなければなりませんが、この特例を使うことにより一括でその年の経費とすることができます。

なぜ少額減価償却資産の特例が節税になるのか

ではなぜ少額減価償却資産の特例を使うことが節税につながるのでしょうか。この少額減価償却資産の特例は特に決算直前の節税対策として有効です。

減価償却資産は法定耐用年数により期間按分

まず通常10万円を超える資産を購入した場合、資産ごとに税務署によって定められている法定耐用年数によって期間按分した金額を減価償却費として経費としなければなりません。

例えば、3月が決算期の法人が前年の9月に20万円のパソコンを購入した場合、20万円の出費をしたものの経費として計上することができるのは法定耐用年数で按分し、更に9月から3月までの期間按分を行なった金額のみが減価償却費となります。

この場合、パソコンの法定耐用年数は4年ですので、20万円を4年で按分し、6ヶ月分の償却ですので6/12をかけます。

 20万円÷4×6÷12=25,000円

このケースでは6月に購入した20万円のパソコンは、今期の経費として計上できるのは2万5千円部分のみとなります。

少額減価償却資産の特例で決算直前の節税対策

通常の減価償却を行う場合、経費を按分できるので翌年やその先の年度に関しては実際に支出をせずに経費を作ることができます。しかしこの方法では決算直前の節税対策としてはあまり節税効果を発揮しません。
先ほどの例ですと、例えば決算直前の3月にパソコンを購入した場合には耐用年数4年で割り、更にその1/12しか経費にすることができません。

しかし、少額減価償却資産の特例を使うことにより、例え3月に購入したとしても丸々20万円部分を経費とすることができるのです。
このため、少額減価償却資産の特例は特に決算直前の対策として有効な節税対策となります。

少額減価償却資産の対象となる資産

少額減価償却資産の対象となるのは取得価額が30万円未満である以下の資産となります。

  • 器具及び備品
  • 機械・装置等
  • ソフトウェア
  • 特許権
  • 商標権等

器具備品や機械装置などのいわゆる「有形固定資産」だけでなく、ソフトウェアや権利などの「無形固定資産」も少額減価償却資産の特例の対象となります。
またその他所有権移転外リース資産や中古資産なども少額減価償却資産の対象となります。

特例を受けるための条件

ではこの少額減価償却資産の特例を受けるためにはどうすれば良いのでしょうか。特例を受けるための条件としては以下のことがあげられます。

青色申告で確定申告を行なっている

この特例を受けるためには青色申告で確定申告していることが必要です。

法人でも個人でも申告をする際には「白色申告」と「青色申告」という方法があります。
青色申告とは、複式簿記などの方法により記帳するなど経理処理や手続きなども複雑となりますが、その分控除を使うことができ、また赤字が出た場合にはその赤字を繰り越すことができるなどのメリットがあります。この少額減価償却資産の特例を受けるためにも青色申告で確定申告を行なっている必要があります。

資本金1億円以下の法人であること

またこの特例を使うためには法人の規模に関する条件もあり、例えば

  • 従業員数が1,000人以下
  • 資本金1億円以下の中小企業または農業協同組合等

などの条件を満たしている必要があります。

損金として計上していること

この少額減価償却資産の特例を受けるための前提として、経費計上したい事業年度において損金処理していなくてはなりません。
つまり、仮に経理上、「固定資産」として計上していた場合には少額減価償却資産の特例を使い費用として計上することはできなくなります。

合計額が年300万円以内であること

またこの少額減価償却資産の特例は、累計で年間300万円までと限度額が定められており、少額資産の合計額が300万円に達するまでしか特例は受けることができません。
300万円を超える場合、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計が限度額となります。

少額減価償却資産の特例の記載方法

では少額減価償却資産の特例を受けるためにはどのような手続きをしなければならないのでしょうか。個人の場合、法人の場合それぞれの提出書類について解説していきます。

個人の場合

個人の場合、この制度の適用を受けるためには、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要とされています。

ただしそのような明細書を添付しなくても、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に必要事項を記載して確定申告書に添付して提出し、少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管することにより適用を受けることができます。
その場合、減価償却費の計算欄には以下のことを記載する必要があります。

  1. 少額減価償却資産の取得価額の合計額
  2. 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
  3. 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨

参考:「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の 特例制度」を適用する場合の明細書の添付について

法人の場合

法人がこの制度の適用を受けるためには、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告することが必要とされています。

法人の場合も個人と同様に、この明細書の添付に代えて減価償却資産の償却額の計算に関する明細書(別表十六(一)または別表十六(二)等)の「備考」欄に必要事項を記載して提出し、当該少額減価償却資産の明細を別途保管することにより適用を受けることもできます。その場合、備考欄には以下のことを記載しておく必要があります。

  1. 取得価額30万円未満の減価償却資産について措法67の8を適用していること。
  2. 適用した減価償却資産の取得価額の合計額は、○○○円であること。
  3. 適用した減価償却資産の明細は、別途保管していること。

(注)例えば、「取得価額30万円未満の減価償却資産について措置法67の8の規定を適用している。また、適用した減価償却資産の取得価額の合計額は○○○円であり、その明細は別途保管している。」などのように記載します。

参考:「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の 特例制度」を適用する場合の明細書の添付について

少額減価償却資産の特例を受ける際の注意点

ではこの少額減価償却資産の特例を受ける際にはどのような点に注意しなければならないのでしょうか。

重複適用はできない

この少額減価償却資産の特例を受ける資産は、

  • 租税特別措置法上の特別償却
  • 税額控除
  • 圧縮記帳

などとは重複適用することはできません。

取得価格に含める諸費用

少額減価償却資産の取得価格には、

  • 引取運賃
  • 荷役費
  • 運送保険料
  • 購入手数料
  • 関税その他
  • 事業の用に供するため直接に要した費用

なども取得価格に含めて計算します。
購入したもの自体が30万円未満だとしても、これらを含めて30万円を超えてしまうと特例は使えませんので注意しましょう。

30万円未満は税込か税抜か

またこの30万円未満という条件の判断は税込、税抜価格どちらで行うのでしょうか。この判断は消費税の経理処理を税込みで行っているか、税抜きで行っているかによります。税込経理を採用している場合には「税込価額」で30万円未満かどうかを判定し、税抜経理を採用している場合、「税抜価額」で30万円未満かどうかを判定します。
売上が1,000万円以下の免税事業者の方は、「税込価額」で判断します。

償却資産税税との関係

償却資産税とは、1月1日に所有している事業用の償却資産の評価額に1.4%を掛けた額が課税されるもので、

  • 構築物
  • 機械及び装置
  • 船舶、航空機、車両及び運搬具
  • 工具・器具及び備品

などが対象となります。自動車税、軽自動車税の課税対象となるものや無形固定資産、繰延資産などは対象となりません

少額減価償却資産の特例を適用した全額経費として計上した場合には、償却資産税の課税対象となります。つまり課税標準に対して1.4%の税額が除却するまでかかり続けることになるのです。
この償却資産税について踏まえると、少額減価償却資産の特例を採用しない方が節税になるケースもあります。

事業で使用すること

少額減価償却資産の特例の要件として、「決算日までに実際に事業で使用する」があります。資産に関しては購入するだけでなく、実際に使用することも忘れてはいけません。

少額資産の特例と関連する会計処理

少額資産の特例と関連するものとして「少額の減価償却資産」があり、このケースに該当する場合も一括償却や3年間での分割償却などが可能となります。

少額の減価償却資産

下記のいずれかに該当するものについては、少額の減価償却資産となりその法人がこの減価償却資産を事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には全額損金の額に算入されます。

  • 使用可能期間が1年未満※
  • 取得価額が10万円未満

※「使用可能期間が1年未満」については法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。

10万円から20万円未満の一括償却資産

取得価格が10万円以上20万円未満の減価償却資産については3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。
この方法を使うと取得時期に関係なく、その事業年度に取得したものを1/3ずつ3年間で費用処理することができます。

適用を受けるためには別表十六(六)  「一括償却資産の損金算入に関する明細書」を作成して必要事項を記載します。

取得価額が10万円未満または20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定します。

この一括償却資産のメリットとしては先ほどの償却資産税の対象にならないということです。さらにこれらの少額の減価償却資産は青色申告ではなく白色申告でも可能です。

取得した備品などの資産が30万円未満である場合には少額減価償却資産の特例を検討することができますが、更にその資産が20万円未満であるような場合にはこの「一括償却資産」、10万円未満である場合には少額資産としての計上も検討してみましょう。

まとめ:30万円未満の備品購入で節税!少額減価償却資産の特例の活用方法

今回の記事では少額減価償却資産の特例についてどのような節税効果があるのか、またその条件や特例を受けるための方法についてご紹介しました。少額減価償却資産の特例は30万円未満の資産であれば一括で経費計上することができるため、決算直前の節税対策として有効です。
ただし、特例を受けるためには法人の規模的な条件、また特例を受けられる上限額も定められています。また所得税や法人税だけでなく償却資産税についても考慮しなければなりません。
詳しい内容は専門の税理士か節税コンサルティングサービスをご利用ください。

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