自動車にはカーナビを装備することが多いですが、その費用も経費にして節税が可能です。ポイントは、会社の状況によっては自動車購入時に装備するより、後付けするほうが節税できる可能性があることです。今回はこの記事でカーナビを後付けして経費化するほうが、メリットがある理由についてご紹介します。
カーナビを後付けにして経費化すると節税になる
会社の自動車にカーナビを取りつける場合は、固定資産とみなされ減価償却が必要です。カーナビのようなカー用品も、自動車の価値を高めるものとみなされるからです。
カーナビは購入時にカーナビを先付け(標準装備)するか、購入後に後付けするかの手段があります。節税対策として考えるなら、後付けにして経費化するほうが、効果が期待できます。
20万円未満のカーナビは全額経費計上可
カーナビを後付けにしたほうが節税効果を期待できるのは、減価償却の特例を使えるからです。20万円未満のカーナビは、購入した事業年度に一括で経費することが可能です。
前述したとおり、原則として取り付けたカーナビの金額分は、減価償却で経費計上することになります。自動車購入時に標準装備されている場合や、購入と同時にカーナビを取り付ける場合は、本体と合計した金額を法定年数で分割し、経費計上を行います。
資産計上額=車両の取得価格+カーナビ代金
例えば、300万円に15万円のカーナビを取り付けた状態で購入した場合は、315万円を資産計上し、法定年数によって減価償却を行います。減価償却の年数は、新車で普通自動車の場合は6年、軽自動車の場合は4年とされています。
後付の場合、自動車本体とカーナビは別々で減価償却できる
一方、後付けにする場合は、本体費用とカーナビの金額分とは別々に減価償却します。先ほどの例でいうと、300万円の取得価額と15万円のカーナビ代は、別々に経費計上することになります。
カーナビの代金が後付けとして経費計上できるかは、「本体と一体とみなされるかどうか」です。自動車の購入と同時にカーナビを取りつけると税金計算上は「一体」とみなされますが、購入後、しばらく期間をあけて後付けすれば「一体ではない」と認められる可能性が高いでしょう。
最近はカーナビが標準装備されている場合が多いかもしれません。しかし、特例を活用すれば、自動車の購入後にカーナビを取り付けるほうが節税対策のひとつになると考えられます。
運送・タクシーなど自動車を事業で扱う会社には大きな節税効果
特に、運送会社やタクシー会社など、トラックや自動車を事業で使用する会社では、カー用品を取り付ける台数も多く費用もかさみます。後付けで20万円未満におさえることで、節税効果を見込むことはできるでしょう。
ちなみに、カーナビ以外にもバックモニターやドライブレコーダー、ETC、盗難防止装置などのカー用品を取り付ける場合も、後付けで20万円未満であれば当該事業年度に全額経費計上できます。
ただし同じ後付けでも、20万円以上のカーナビを装備する場合は、後付けでも減価償却することになるので注意しましょう。
後付けにするとカーナビ代金分の自動車取得税も節税
カーナビを後付けにして経費化する場合、自動車取得税についても節税効果が期待できます。
自動車取得税は、自動車を購入するときにかかる税金です。カーナビを先付け(標準装備)する場合は、カーナビ代金も含めた取得価額に対し、3%の取得税がかかります。
自動車取得税=自動車の取得価額×3%
しかし、後付けにすれば、カーナビ代金分を自動車の取得価額から外すことができるため、自動車取得税がかかりません。後付けであれば、カー用品には自動車取得税が課税されないからです。
カーナビを後付けで経費化するデメリット
カーナビを後付けして経費計上するのは、黒字で経費を増やし、節税をしたい場合は有効な手段です。しかし、赤字経営の会社によっては、メリットがない場合も考えられます。
赤字の場合はカーナビ先付けで経費化するほうがいい場合も
赤字経営の場合、黒字と違って経費を作っても赤字を増やすだけなので節税効果は期待できません。わざと赤字にしている会社は別かもしれませんが、通常赤字であれば、少しでも経費を減らし、黒字に近づけたいことが多いはずです。
カーナビを標準装備して購入するほうが、カーナビの代金分も含め、数年かけて少しずつ減価償却でき、損益計算書のダメージも減らせるはずです。会社の状況によって、標準装備するか後付けするかを考えたほうがよいでしょう。
車両購入時はカーナビの経費化で節税の検討を
会社が黒字なら後付けのほうが節税対策になりやすい
会社で自動車を購入すると、減価償却により経費計上することになります。会社が黒字で節税効果を期待するなら、カーナビを後付けにするのも有効な手段となるでしょう。20万円以下のカーナビであれば特例を活用できますし、自動車取得税もかからないからです。
ただし、赤字の場合は標準装備にするほうがいい場合もあります。会社の状況によってカーナビをつけるタイミングを見て経費化し、上手に活用につなげましょう。