期限後の申請は特別控除が受けられない?
青色申告には期限があります。確定申告の締め切りは毎年3月15日(土日祝日の場合は翌週の月曜日が期日)です。この期限を過ぎると「青色申告控除」は受けられません。
個人事業主の方は、一人で仕事を抱えている方が多く「申告をする時間が無い」という声も聞かれます。しかし、申請期限を過ぎてしまうと最高65万円の特別控除や税の優遇税制も使えなくなるので損をしてしまいます。
そして、一番怖いのは無申告による税のペナルティです。青色申告を無申告のまま放っておくと高い無申告加算税や重加算税が課せられるほか、二年連続の無申告で青色申告の制度が取り消されてしまいます。
今回は、個人事業主の方が知っておきたい「青色申告の申込締切」と期限後の手続きについて説明します。
青色申告控除の期限は毎年3月15日
青色申告控除を受けるには、期限日までに申請を済ませる必要があります。確定申告が始まるのは毎年2月16日で、締切日は3月15日です。ただし、3月15日が土日を挟む場合には翌週の月曜日が申告期限になるので覚えておきましょう。
参考までに、2020年から2025年までの青色申告期限日をまとめてみました。
青色申告の期限|2020年〜2025年まで
区分 | 締め切り日 |
---|---|
2020年 | 3月16日(月曜日) |
2021年 | 3月15日(月曜日) |
2022年 | 3月15日(火曜日) |
2023年 | 3月15日(水曜日) |
2024年 | 3月15日(金曜日) |
2025年 | 3月17日(月曜日) |
2020年は15日が日曜日なので、翌日3月16日が青色申告の期限日となります。また2025年3月15日は土曜日なので、翌週3月17日が青色申告の期限(提出締め切り日)になるので、締め切り費を間違えないようにしましょう。
青色申告期限後のペナルティは?
青色申告の期限を過ぎても確定申告は行えますが、青色申告控除は受けられません。また期限外の申告(=締め切り後の確定申告)には、無申告加算税と延滞税が課せられます。
青色申告期限後のペナルティ
区分 | 内容 |
---|---|
無申告加算税 | 本来納めるべき税の15%が、無申告加算税と加算されます。また50万円を超える部分については20%の無申告加算税が課せられます。 |
延滞税 | 申告期日から2カ月以内であれば、年利7.3%または特例基準割合+1%の延滞税が課せられます。また期日から2カ月を超えると、年利14.6%または特例基準割合+7.3%のいずれか低い利息が、日割りで適用されます。 ※ 平成30年の特例基準割合は1.6% |
上のように、申告後の納税や確定申告には、大きな「税のペナルティ」が発生します。このほかにも、税額について事実を隠蔽したり、意図的に申告を行わないなど悪質なケースについては重加算税が課せられるので注意しましょう。
重加算税はでは上の税(無申告加算税と重加算税)に加え、本来納めるべき税額の35%(または40%)が課せられるので、納税のペナルティ額はさらに大きくなります。
二年連続の無申告で青色申告制度が取り消しに!
二年連続で青色申告を行わない事業者については、青色申告制度が取り消されます。青色申告が利用できないと、最高65万円の特別控除以外にも、最長三年間の繰り越し控除、各種優遇税制までもすべて不適用となります。
【重要】 二年連続の無申告で、青色申告の制度が取り消しに! |
青色申告の制度が一度取り消されると、今後一年間は白色申告で申告する必要があり、ふたたび青色申告ができるのは、さらに一年後(取り消しから二年後)のことです。
また再度「青色申告事業者」になるには、改めて青色申告承認申請書を提出する必要があり、手続きまでに時間が掛かります。青色申告事業主は必ずルールを守り、無申告にならないよう確定申告(青色申告)を行ってください。
税務調査前に、自主的に手続きを行うこと
期限が過ぎても、重い税のペナルティが課せられないケースがあります。例えば、税務調査が入る前に「自主的に申告」を行えば、税のペナルティは軽減されます。
ここまで、無申告加算税は15%(50万円を超える部分は20%)と説明しましたが、自主的に申告を行えば5%にまで利率が低くなります。また、法定申告期限から1カ月以内に申告をすれば、無申告加算税は適用されません。
このほかにも、期限内に納める意思があった場合や納付すべき税額を期限内に納めた方、過去5年以内に無申告加算税や重加算税が課せられておらず「納税の意思」があったと認められた場合には、無申告加算税が適用されません。
無申告加算税が発生しないケース
- 法定申告期限から1カ月以内に申告をした場合。
- 過去5年以内に無申告加算税が課せられていない。
- 過去5年以内に重い加算税が課せられていない。
- 上の要件を満たしており「納税の意思」が認められた場合
3月15日(土日の場合は翌月曜日)の期限を過ぎると青色申告控除は受けられませんが、
早めに手続きを済ませれば税のペナルティを受けずに済みます。
うっかり申請期限が過ぎた場合も、1カ月以内に自主的に確定申告(青色申告)を済ませるようにしましょう。
青色申告控除の期限日、消印有効?
郵送で提出する場合、締切日の消印が押されていれば「期限内の申告」として確定申告書類が受理されます。例えば、2020年の場合「3月16日の消印」が押されていれば、期日までの申告として青色申告控除が受けられます。
夜間郵便局で確定申告を郵送する方法
当日の夜ギリギリに提出する場合は、夜間空いている郵便局の窓口で発送し、当日の消印を押してもらいましょう。当日消印が受けられれば、期限内の申告とみなされます。
全国の郵便局(夜間開いている局)は、以下のページから検索できます。今いる場所の郵便番号を入力し、夜間を開いている郵便局を探しましょう。
※ 郵便局の名称や、地図からも検索できます。
夜間郵便局であれば、年中無休0時00分〜24時00分まで窓口が開いているので、23時59分の当日消印が押される時間まで(確定申告の)郵送手続きに間に合います。
税務署で確定申告を提出する方法
税務署は、毎週月曜日から金曜日の8時30分から夕方17時00分まで開庁しています。この時間に確定申告書類を持ち込んでもOKです。また確定申告の時期には、日曜日も例外的に窓口を開けることがあります。
令和元年分の確定申告については、国税庁の作成した資料にて確認できます。
また下のページからは、管轄の税務署が検索できます。あなたが働いている事業所の郵便番号を入れて最寄りの税務署を見つけてみましょう。
参考:税務署の所在地などを知りたい方|郵便番号・住所から税務署を調べる(国税庁)
なお確定申告の時期には、時間外でも確定申告が行えます。持ち込みの方は税務署の外に設けられた「時間外収受箱」に投函すれば確定申告(青色申告)書類が提出できます。「郵便局でも間に合わない」という時は、管轄の税務署に持ち込みましょう。
また税務署の場合、締切翌日の朝(職員が時間外収受箱を明ける)までに投函すれば、ギリギリ提出が間に合う可能性があります。
とはいえ、時間が間に合わなかった場合には「最高65万円」の青色申告特別控除が受けられない可能性があるので、ギリギリの行動はおすすめしません。青色申告控除を受けるためにも、時間に余裕を持って行動してください。
e-TAXなら自宅から提出できるので便利!
e-TAX(電子申告)であれば、自宅から確定申告が行えます。「時間の無い方」は電子申告で青色申告をしましょう。
e-TAXはマイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。また、マイナンバーカードを取得したときに設定した時に設定したパスワードがあれば、ICカードリーダライタ無しでも手続きできます。
e-TAX(電子申告)に必要なもの
- マイナンバーカード
- マイナンバーカードのパスワードまたは、ICカードリーダライタ
上の「マイナンバーカードのパスワード」とは、マイナンバーカード取得時に市区町村で設定した暗証番号のことです。
マイナンバーカードのパスワード
- 利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)
- 署名用電子証明書のパスワード(英数字6文字以上16文字以下)
- 初めてマイナンバーカード方式を利用する場合のみ)券面事項入力補助用のパスワード(数字4桁)
利用者識別番号や暗証番号を無くしてしまった方、分からなくなった場合は、最寄りの市区町村(住民票のある役所)窓口で、パスワードを初期化申請してください。
すでにe-TAXを利用した方のうち、利用者識別番号や暗証番号を忘れた方は、税務署に「変更等届出書」を提出し新しい利用者識別番号や暗証番号を設定してください。
青色申告の方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
e-TAXに必要な「ICカードリーダライタ」の設定方法と使い方は、国税庁のホームページで確認できます。
参考:ICカードリーダライタの対応機種や利用方法に関するご質問はこちら(国税庁)
スマホからも青色申告できる!
パソコンだけで無く、普段お使いのスマートフォンやタブレットからも、確定申告(青色申告)ができるのをご存じですか?
マイナンバーカードとマイナンバーカードのパスワード、マイナンバー対応スマートフォンをお使いの方は「スマホの確定申告」が利用できます。スマホ確定申告の対応機種は、以下のページから確認しましょう。
参考:マイナンバーカード対応のスマートフォンの機種はこちら(国税庁)
iPhone、Androidなどの端末のほとんどが「スマホの確定申告」に対応しています。iPadの記載はありませんが、上の表の中に対応する端末があれば、スマホによる電子申告が利用できます。
スマホとPCで、最高65万円の青色申告控除を受けよう
2020年からは、電子申告がなければ65万円の控除が「55万円」に減額されるのですが、前項で紹介したe-TAXや、本項で紹介している「スマホ申告」を行えば、2020年以降も最高65万円の青色申告控除が受けられます。
下の画像は、スマホ版の確定申告申請フォームです。必要事項を入力するだけなので、初めての方でも簡単に青色申告(確定申告)が行えます。
なお、税理士に青色申告を依頼した場合も、ここまで紹介したのと「同様の方式」で申請が行えます。スマートフォン申告の詳細は、国税庁のホームページにて確認してください。
参考:平成31年1月からe-Taxの利用手続がより便利になります(平成30年4月)PDF/1,477KB(国税庁)
青色申告期限前に「間に合わない」と分かったら?
レシートや領収書の整理が追いつかず、期日までに申告できない方も少なくありません。締め切り日前の段階で「間に合わない」と分かったら先に納税額を計算し、納税を済ませておきましょう。
本記事の前半「税務調査前に、自主的に手続きを行うこと」の項目で説明をしましたが、納付すべき税額を期限内に納めていた場合には、無申告加算税や重加算税が課せられません。
「納税の意思を示す」という意味でも【納税>確定申告】の優先順位で、手続きを進めましょう。先に税金を納めておくと(確定申告が間に合わなくても)重い課のペナルティは避けられます。
もちろん、青色申告控除は受けられませんが「重い追徴課税」を受けるよりダメーズは少なくなります。また、納税が厳しい場合も無申告にするのではなく、税務署に連絡をしておくと安心です。
確定申告の直前は、なかなか電話がつながりにくいのですが無申告のまま放置しておくよりも、支払いの意思を伝えることが重要です(直接窓口で相談をしてもOK)。
納税が間に合わない場合も、まずは税務署に連絡し「いつなら確定申告できるのか」約束をしてください(※ 無申告で放置するよりも、相手からの印象は良くなります)。
このほか青色申告の期限が過ぎてしまった方、支払いができず「滞納の悩み」を抱えている方は、信頼できる税理士に相談しましょう。税理士に相談をすれば、延滞金の計算や税のペナルティを最小限に抑える方法について、アドバイスを与えてくれます。
また期限に遅れないためには、税理士に青色申告手続きを任せておくと安心です。レシート整理や記帳、確定申告まで(丸ごと)税理士に任せてしまう、個人事業主も増えています。
税理士への報酬は経費として計上できます。業務や仕事で記帳や申請の時間が取れない方は、税理士への依頼を検討しましょう。
まとめ|青色申告控除は期限前に手続きしよう!
青色申告控除は、期限後を過ぎると「適用外」となります。期限に間に合わない場合には、締切日から1カ月以内に自主申告しましょう。納税が難しい場合や、延滞でお悩みの方は管轄の税務署に相談してください。
最後に、本記事の内容をまとめてみました。
- 青色申告控除は期限(毎年3月15日)を過ぎると、適用外になる
- 青色申告期限後でも確定申告できるが、税のペナルティが発生する
- 無申告加算税や重加算税は、税のペナルティが大きい
- 当日消印があれば、期限に間に合う
- 青色申告は、税務署に持ち込んでもOK
- スマホやe-TAXで確定申告を間に合わせよう
なお、税理士に依頼をすれば、期日までに確定申告(青色申告)できるので安心です。記帳が苦手な方、経費計上や納税について分からないことも、信頼できる税理士に相談してみましょう。