個人型確定拠出年金加入後は、年末調整で控除申請しよう
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入した後は、年末調整を忘れず申請しましょう。サラリーマンや給与所得者の方が年末調整をしなければ、個人型確定拠出年金のメリットは享受できません。
本記事では、iDeCoを利用する人が必ず知っておきたい「年末調整のメリット」について解説します。
確定拠出年金の年末調整は本人にのみ適用
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入後、控除を受けるには年末調整が必要です。年末調整をすれば「所得控除のメリット」は本人にのみ適用されます。
所得税や住民税を納めている人、所得控除や還付が受けられるのは本人のみ
「iDeCo=税制優遇」のイメージが強いのですが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者すべてが、税控除の対象ではありません。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している人であっても、所得税や住民税を払っていない人(例:専業主婦など)は、所得の控除が受けられないので注意しましょう。
確定拠出年金に必要な年末調整とは?
給与所得者の方が毎年、12月の最終支払日に所得税等の過不足を計算・精算する制度を「年末調整」と言います。個人型確定拠出年金(iDeCo)に年末調整が必要なのは、掛金を所得税から控除してもらうためです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の税制優遇措置 |
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☑️ 掛金が全額所得控除に |
☑️ iDeCoで得た運用益は非課税 |
☑️ 受取の際にも、税制優遇措置が適用される |
上のように、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、掛金が全額控除となり、一年間で支払った掛金は所得税と住民税の課税所得から差し引かれます。
またiDeCoで得た運用益は非課税となり、受取の際にも税制優遇措置が取られます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、「将来のために積み立てる資金」というイメージが強いのですが、今の税金が安くなるという意味でも、個人型確定拠出年金に加入するメリットは大きいです。
年末調整と確定申告の違い
年末調整と確定申告を混同する方も多いのですが、それぞれの役割は大きく異なります。ここで年末調整と確定申告の違いを見ておきましょう。
年末調整 | 一年間の給与所得を確定し、天引きをしていた税金を年末の時点で計算・精算すること。払いすぎていた税金については還付が行われ、納税が少ない場合には徴収が行われます。 |
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確定申告 | さまざまな所得について、税金を申告し納税する手続きのこと。 |
「確定申告=個人事業主」ではありません。給与所得者の場合も、給与や賞与以外の所得については確定申告が必要です。
年末調整が必要な人
年末調整が必要な人は、企業が給与を支払っている従業員、派遣社員、アルバイト、パートが該当します。
このほかにも、扶養控除申請書や移動申告書を提出した人、一年間を通して勤務している人、年度途中で就職し年度末まで勤務している人も年度末調整の対象となります。
少し「特殊な例」ですが、年の途中で年末調整の対象となる人がいます。
例えば、海外への転勤で国内に非居住者となる人、死亡で退職をした人、重い心身障害によって退職し復帰の見込みが無い人、12月の給与を受けとった後に退職した人は、年度末になる前に「年末調整の対象」となります。
このほかにも、年末調整の条件や申請方法については、国税庁のホームページ「No.2665 年末調整の対象となる人」の解説が参考になります。
確定申告が必要な人
確定申告は、自営業者など「個人事業主」のイメージが強いのですが、以下の条件に当てはまる方はすべて確定申告が必要です。
給与所得者で確定申告が必要な方 |
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① 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人 |
② 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人 |
③ 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人(※) ※ ただし給与の合計額から雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下の場合や、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合は、申告の必要はありません。 |
④ 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人 |
⑤ 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人 |
⑥ 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人 |
⑦ 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人 |
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
上の条件に該当する方は、確定申告を行ってください。また、個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除をはじめ、医療費控除や住宅ローン控除、寄付金控除(ふるさと納税も含む)についても確定申告が必要です。
確定申告で控除を受ける
給与所得者の方は年末調整だけで「税の申請は終わった」と勘違いしがちですが、iDeCoをはじめ、医療費控除や住宅ローン控除、寄付金控除は忘れずに申請しましょう。
冒頭でも述べましたが、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、掛金が全額所得税より控除されます。個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットで最も大きいのは「税控除」といっても過言ではありません。
節税対策として個人型確定拠出年金(iDeCo)に取り組む方も多いのですが、肝心の税申告を忘れないようにしてください。
iDeCoの控除申請に必要!年末調整の手順
個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除申請にも必要な、年末調整の手順をまとめてみました。
年末調整の手順
STEP1:証明書を受けとる | 国民年金基金連合会から、小規模企業共済等掛金払込証明書を受けとります。 |
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STEP2:年末調整を書く | 勤務先で、給与所得者の保険料控除申告書を受け取り、必要事項を記入します。 |
STEP3:必要書類を提出 | 勤務先にSTEP2で作成した書類を提出します |
年末調整は上記手順で完結します。なお、11月移行にiDeCoの初回掛金を払った場合、12月の下旬頃に小規模企業共済等掛金払込証明書が送付されます。
年末調整に間に合うか・間に合わないかギリギリのタイミングではありますが、年末調整に間に合わない場合は、確定申告をしてください(確定申告)
個人事業主の控除申請
個人事業主の方も、個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除申請を忘れずに行ってください。
確定申告の手順
STEP1:証明書を受けとる | 国民年金基金連合会から、小規模企業共済等掛金払込証明書を受け取ります。 |
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STEP2:確定申告書の作成 | 確定申告書Bに必要事項を記入、控除の証明書も合わせて添付します。 |
STEP3:必要書類を提出 | 税務署にSTEP2で作成した確定申告書を提出します |
個人事業主の方であれば、白色申告・青色申告で「確定申告」を行うので控除申請を忘れることはないでしょう。
なお、年末調整や確定申告書を忘れた場合も遅れて申請ができ、還付金は受けとれます。個人型確定拠出年金(iDeCo)の控除申請を忘れた場合の対処法は、下の記事で詳しく解説しています。
年末調整に間に合わなかった方も、参考にしてください。
まとめ|個人型確定拠出年金は年末調整を忘れずに
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入をした後は、年末調整や確定申告を忘れずに申請しましょう。最後に、本記事の内容をまとめておきます。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)は年末調整が必要
- 年末調整で所得税と住民税から掛金が控除される
- 税制優遇措置は、所得税や住民税を払う人にのみ適用
- 年末調整と確定申告は異なるもの
- 年末調整は給与を受けとっている人に必要な手続き
- 年末調整に遅れたら確定申告が必要
税金のメリットを享受するためにも、年末調整や確定申告を行い「所得税や住民税」の控除が適用されるようにしましょう。