借金経営って何?メリット・デメリットと無借金経営との違いを解説

借金経営って何?メリット・デメリットと無借金経営との違いを解説資金繰り・資金調達
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借金経営とは

借入をして利益を増やす経営手法

借金経営は銀行から借入を行い、利益を増やす経営手法です。

「借入=借金」と考えると、一般的には悪いイメージを持つ人もいるでしょう。会社が赤字なのではないかと考える人もいるかもしれません。

しかし、経営の観点からみると、借金は利益を増やすための手段のひとつです。利益を伸ばすためには、運転資金や設備資金の投資が必要であり、投資をするために借入をすることは悪いことではないからです。実際、上場している優良企業であっても、借入によって資金を調達している会社は多く存在します。

さらに利益を伸ばすためには、借金(借入)を増やすのもひとつです。借入が増えても固定費などは大きく変動することが少なく、ただちに赤字になるわけではないからです。通常、会社の収益率は、支払利息より高いはずなので、経営が安定していれば借入を増やしても投資した分を回収できるでしょう。

つまり、借金経営においては、資金調達力があって多くの借金ができる会社ほど、利益を伸ばせる可能性も高いと考えられます。利益の増加額のほうが、借入金の返済や支払利息より大きければ、最終的に得られる利益も増加するはずだからです。

借金経営のメリット

資本金が手元になくても企業成長への投資ができる

借金経営を行うメリットのひとつは、自己資金(資本金)が少ない場合や、すぐに使えるお金が手元にない場合でも新たな投資を行えることです。借入によって事業資金の投入ができれば、全体の利益も増加し、会社の成長にもつながるでしょう。

例えば、資本金100万円、利益率が10%の会社で、現状10万円の利益が出せるとします。もし100万円の借入資金があり、支払利息が3%だとすると、単純計算で下記の通り、借入を行わない場合に比べ、4万円の利益プラスが見込めます。

資本金+借入金200万円×(利益率10%-支払利息3%)=14万円

もちろん、人件費や販管費などを差し引くと、単純に4万円の利益アップになるとは限りません。しかし、支払利息以上の利益を見込める場合は、借金経営も企業の成長にプラスに働く可能性が高いでしょう。

会社発展へのモチベーションになる

借入経営は、会社発展のモチベーションになることもあります。借入がない状態だと、かえって緊張感がなくなり、経営の効率が落ちることもあるからです。

銀行から借入をしたら、少しでも早く返済を終えたいと考える経営者は多いでしょう。中には、本当に返せるのか不安になる経営者もいるかもしれません。

しかし、毎月返済しないといけないからこそ目標が生まれ、どうやって売上を上げればいいか、企業努力やモチベーションアップにつながることもあるはずです。

最初は返済をするためであっても、ゆくゆく事業拡大のためにもっと借りて儲けて返済することがモチベーションとなり、会社発展に借金経営が貢献する可能性もあります。

また、融資を行う銀行側にとっても、金利を得られるメリットがあります。経営が順調で、「もっと借りてほしい」と思われている立場であれば、借入をすることによって銀行に対し、恩を売ることもできるでしょう。

銀行との信頼関係を築くきっかけに

 いざというときの資金調達手段が確保できる

借金経営をすることは、銀行との付き合いが生まれ、信頼関係につながることも多いです。一度でも借入の実績を作っておけば、万が一の資金調達手段を確保し、リスク回避することにもつながるでしょう。

借入は好きではないという経営者もいるかもしれないが、いざというときのリスク回避のために関係を作っておくことは大切です。

借金経営のデメリット

経営が悪化すると借金が膨らむリスクも

借金経営には注意すべきデメリットもあります。売上が落ち込み、経営が悪化して借入を繰り返せば支払利息も膨らみ、利益を出すどころか毎月返済に追われるリスクがあるからです。

加えて、経営状態の悪い会社に対しては、銀行の貸出利率が上がることも多いです。貸出利率が高くなれば、その分借金返済のハードルも高くなるでしょう。

キャッシュフローが順調に回っているときはいいですが、一旦経営状況が悪くなり出すと、返済資金の工面に追われることになるかもしれません。

「借入=借金=悪いこと」というイメージも、経営に失敗して赤字となり、運転資金の補填として借入を行うケースを想定する人が多いためと考えられます。

銀行は基本的に赤字補填目的で融資はしないので、借入すらできなくなれば、運転資金が回らなくなり倒産、借金だけ残るリスクもあります。

とはいえ、借金が赤字を作り出すわけではなく、あくまで事業が赤字になるから借金ができるのです。借入を行っても、返済しながら十分収益が得られる状況であれば、経営に影響に打撃を与える可能性は低いでしょう。

無借金経営は借金経営より良いもの?

 無借金経営とは

  自己資金と内部留保で経営を行う手法

借金経営とよく比較されるのが、無借金経営と呼ばれる経営手法です。一般的に無借金経営は、銀行や金融機関からの借入、社債などの資金調達手段に頼らず、自己資金(資本金)と内部留保(余剰金)によって経営方法をいいます。

無借金経営のメリットは、借入をせず自己資金で賄うため、借金返済や利息の支払いに追われる心配がないことです。精神的な面でも余裕が生まれるでしょう。無借金であることにより、外部企業からの信頼を得るのに役立つこともあります。

 無借金経営にはらむリスク

  ビジネスチャンスを逃し、会社の成長が阻害されることも

企業経営においては「無借金経営だから絶対に大丈夫」とも言い切れません。無借金経営だからこそのデメリットもいくつかあります。ひとつは、手元にある自己資金の範囲内で経営を行う手法なので、ビジネスチャンスを逃す可能性があることです。

会社にとって成長するチャンスは、突然訪れることもあります。例えば大手企業からの大型案件の話が舞い込んだときに、新しい設備投資や大量の仕入れが必要になることもあります。

しかし、無借金経営は基本的に自己資金だけで賄う経営手法なので、資金が手元になければ、速やかな投資は難しいです。ビッグチャンスが訪れた際の、売上獲得の機会損失につながるリスクは考えておいたほうがよさそうです。

  必要になった時にお金を貸してもらえない

無借金経営には、急に資金が必要になったときに対応できないリスクも考えられます。どんなに順調な経営をしていても、自然災害や売掛金の増加による資金繰りの悪化など、予期せぬトラブルで経営状況が変わる可能性はあります。

しかし、まったく銀行や金融機関との取引実績がない状態だと、借入の申込みをしてもスムーズな融資を受けられない可能性は高いです。銀行や金融機関としては借入実績がある会社や、返済に遅滞のない会社のほうが、信用度が高く、優先する傾向があるからです。場合によっては業績悪化を懸念して借入できないケースもあります。

いざというとき、スムーズに融資を受けるためにも、無借金経営にこだわりすぎず、日ごろから銀行や金融機関との関係づくりをするなど、さまざまな選択肢を検討することも大切です。

借金経営は借入で会社を成長させる真っ当な経営手法

 経営状況と返済バランスを見て適切な借入を行うことが大切

借入を行い、会社の利益を高める借金経営は、「借金」という文字から悪いイメージが持たれやすいですが、必ずしも悪いことではありません。むしろ、会社の経営を行う上でまっとうな経営手法のひとつといえるでしょう。

経営をしていると、借金をしなければつかめないようなビッグチャンスが訪れることもあります。企業を成長させるために、借入によって資金を得ることは至極当然の経営判断といえるでしょう。

また、自己資金のみで資金繰りを行う無借金経営ができることは素晴らしいですが、無借金に固執しすぎることにも、リスクがあると考えられます。経営をしていると、予期せぬトラブルに巻き込まれることもあるからです。

もちろん、無計画な借入は危険です。しかし、経営状況や返済のバランスを考慮し、業界の動向などさまざまな角度から会社を見ながら、適切な時期に適切な額の借入を行い、健全な計画を目指すことが大切です。

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